2017年に愛知県新城市で、古民家宿タカハウスの運営を始めた。
タカハウスは最寄りの24時間営業のコンビニが車で30分ほどの場所で、ど田舎というに相応しい。車を走らせていると、人間より鹿をよく見かける。
そんなエリアにある家だったが、人が泊まりにくることがあった。僕を訪ねてきたり、イベントで遊びに来たりと。
好意的な大家さんが「好きに使っていいよ」と言ってくれるので、借りている家で宿泊許可を取ってみた。安易にタカハウスと名付け、値段を素泊まり4,000円に設定し、泊まる人からはお金をもらうことにした。
何をして生きているのかよく分からないと言われたり、仙人みたいだねと言われることもあるが、宿業が仕事の1つとなっている。
宿業をはじめてからの学びは多く、人生が一段階面白くなった。
当記事ではしょぼい宿業をおすすめする理由を書いていく。
しょぼい起業で生きていくという名著
堀本見(以下ホリケン)という友人がいる。
ホリケンとは白川郷の面白く生きる合宿で意気投合し、以来仲良くしてもらっている。ホリケンが僕のことを紹介してくれたブログ記事が下のものになる。
・貸してない1万円を返してもらった話-友人間のお金のやりとりと”お気持ち”の関係
まだ世に出ていない人材を見つけるのには定評のあるホリケンが、面白い人物としてえらいてんちょう(以下えらてんさん)を挙げていた。
よってえらてんさんを2年くらい前からフォローしており、お会いしてみたいなと思っていた。するとココ最近インターネットプロレスラーとして話題に事欠かない方になっていた。
そのえらてんさんが「しょぼい起業で生きていく」という本を書いたので読んでみると、自分が宿業と符合していることが多く驚いた。
しょぼい起業がおすすめだよ、というのが本の趣旨であったが、僕がはじめたタカハウスはまさにしょぼい起業だったのだ!
しょぼい起業の中の、宿業。
つまり、タカハウスはしょぼい宿だったのである。
しょぼい起業、しょぼい宿とは?
しょぼい起業、しょぼい宿というしょぼいシリーズのエッセンスは何なのか?
それは「起業の常識にひそんでいる不必要を避ける」ことにある。
起業といえば、事業計画を立てたり、銀行から資金調達をしなければならないと思われている。また交通の便の良いところにオフィスを借りたり、内装工事をしたりバイトを雇ったりとお金がかかるイメージもある。
しょぼい起業では、手間やお金がかかることを避け、「いつもやっている行為をお金に換える」という発想をする。
例えばタカハウスで言うと、「今まで無料で泊めていた人からお金をもらう」ということになる。タカハウスには僕が住んでいるので、家賃や光熱費やネット代はもともと払っている。
つまり、人が泊まりに来なければ今まで通り生活するだけであり、人が泊まりにくれば売上が発生する。
また、しょぼい起業では持っている資産を使って稼ぐことも重要な考え方。
タカハウスでいうと、ボードゲームが該当する。僕は5年前からボードゲームにはまっており、30ほどのボドゲを買い揃えていた。これらのボードゲームで集客したり、イベントを開催すると、コストは実質0円である。
地方在住者が「しょぼい宿」を始めるべき3つの理由
僕は地方在住者こそ、しょぼい宿をはじめるべきだと考えている。特に地域おこし協力隊は、住んでいる家を宿にすべきである。
その3つの理由を挙げる。
理由2:観光名所でないならば、もはや交通の便は関係ない。
理由3:地域に貢献することになる。
もう少し詳しく説明していく。
理由1:地方は家賃が安い。家が広い。スペースがある。
東京の家賃がべらぼうに高いことに対し、地方の家賃は安い。
一軒家の家賃が1万円~2万円くらいというのはザラである。だいたい部屋が余っているので、そこを宿泊者に提供すれば良い。
布団を余分に買っておき、泊めるだけ。1セット4,000円くらいなので、1泊で元が取れる。
また、余っている布団をくれませんか?と言い続ければもらえることもある。
理由2:観光名所でないならば、もはや交通の便は関係ない。
「宿は交通の便が良いところでないと人が来ない。」
というのは観光名所の話である。京都の清水寺に行こう!という人は、そこからのアクセスを考えて宿を選ぶ。
しかし、アナタの家に泊まりに来る人にアクセスは関係ないのである。
もし観光するとしても、アナタの家を起点に観光ルートを考えるので、交通の便は関係ない。これは宿をはじめてみて気づいたことの1つだった。
理由3:地域に貢献することになる。
アナタが宿をはじめたとしよう。
そこに泊まりに来る人は、従来だったらその地域に来なかった人である。
既存のルートでは来なかった人がその地域を訪れ、お金を落とすというのは地域貢献に他ならない。
地域おこし協力隊こそ宿をやるべきだと書いたのは、理由3が大きい。宿を運営して集客することが地域おこしとなるし、任期後のなりわいの1つになる可能性は十分にある。
宿業の運営と許可申請の話
と考えた方もいると思うけれど、そんなに人が頻繁に泊まりに来ないから大丈夫。
多くても週に1~2回だと思うので、良き刺激になるし、収入にもなるので一石二鳥。
しょぼい宿に関しては、会社などの勤め先を辞めずに始めることをおすすめする。
自分の力で稼ぐことを学べるのもいいよね。
僕は簡易宿所で宿泊許可を取ったけれど、今は民泊の届け出を出せばOK。民泊は営業日数が180日以内という問題点があるが、年の半分以上泊まりに来ることはまずないので問題なし。(宿泊が多すぎるなら単価を上げたり、専業にすれば良い)
集客はフェイスブックやツイッターやインスタといったSNS。タカハウスは一応ウェブサイトも作ったが、なくても大丈夫である。
僕は集客ルートをSNSとブログに絞ることで、泊まりに来る人にフィルターをかけている。知る人ぞ知る、幻の宿である。
AirBnBやじゃらんや楽天トラベルなどに登録しても良いが、敷居が上がるのと、手数料を取られることを覚えておこう。
しょぼい宿のはじめ方
しょぼい宿をやってみようと思った方は、民泊の届け出を出すことから始まる。
ここが最大の難関になるので、熱量が高いうちにやり切ることが大事。よくわからなかったら、役所に電話して相談しながら進めていくことがおすすめ。
届け出さえ出せば、宿泊者からお金をもらうことができるようになるので、SNSなどで「宿はじめたから泊まりに来て」と書いてみる。例えば、うちに泊まりに来たらボードゲームが楽しめるよ!とか、近くにこんないい場所があるよ!とかアピールして反応を伺ってみると良いかと。
そういったことを繰り返していくと、どのコンテンツが刺さるとか、どういったことが魅力になるのかという学びがあるので、段々と発信内容がレベルアップしていく。
人が泊まりに来るようになれば、アナタは立派なしょぼい宿経営者である。
しょぼい起業で生きていくのレビュー
えらてんさんの「しょぼい起業で生きていく」は2019年のベスト本になりそうな予感がする。
当記事では、僕が経営しているタカハウスとしょぼい起業との重なる部分を言及した。自分がやっていることがまさにしょぼい起業であり、しょぼい宿のススメを書いた。
本ではバーやリサイクルショップを例に、しょぼい起業のやり方がまとめられている。
似たような考え方だ!という部分もあれば、なるほど!と勉強になる部分も多々あり、やっていることが近いだけに参考にできそうなことが多かった。
藤村靖之先生の月3万円ビジネスにも通じるところがあると感じたので、月3万円ビジネスが好きだった人におすすめだし、しょぼい起業で生きていくが好きな人には月3万円ビジネスも合わせておすすめしたい。
最後に一言。
えらてんさん、面白い。
ちゃお!
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