もうすぐ年越しだった。といっても1月1日ではなく2月3日が元旦となる中国の旧正月である。その年越し前の1月30日に、以前に山で道を聞いたときに仲良くなった女の子達に香港を案内してもらった。大学生だと思っていた彼女らは、改めて話を聞くとすでに卒業して働いていることを知る。山登りのときのようにラフな格好ではない彼女らの服装はお洒落で、がらっと印象が違って見えた。
お昼に連れて行ってもらったのは飲茶の店。広州で飲茶三昧をするくらいにはまっていたように、香港でも僕は飲茶の店に通っていた。物価が全体的に高い香港の中で見つけたお気に入りの店は、古びた建物の一角にある年季が入った安い飲茶屋。他の店より値段が大幅に安くて美味しいのでそこにばかり足繁く通う中で、彼女らに連れていってもらった店は広々としており優雅だった。味も上品で、そこに女の子が混ざっていることで余計に美味しく感じたのかもしれない。なぜならその古びている飲茶の店に行くときは、1人かヨウと一緒かのどちらかだったから。
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その後はフラワーマーケットをふらふらと見て回る。香港の正月に花は欠かせないようで、歩くのが困難なほどに賑わいを見せていた。その他にも様々なお正月グッズを売っているのを見るのは楽しかったし、意味がよく分からないものは隣にいる香港の女の子たちに聞けばすぐに分かる。例えば下の写真の花は1つ1つの蕾が家族の一員を表わしていることとかを教えてもらった。
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僕はその日に約束があった。香港滞在中の数少ないイベントが重なった日で、ゆったりとした豊かな時間を終えるのは悲しいことだったが、2時間ほど彼女らと散歩した後に宿に戻った。香港にしては格安の70香港ドル(700円強)の宿が見たいと一緒に来た彼女らは、その宿の手作り感満載のぼろぼろ感を見て驚き、そしてお別れをした。その時刻は15時を回ったところだったが、この日の濃密な時間は始まったばかりだった。
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