マカオのカジノ「大小」でかけ金を2倍にする大勝利!

彼が香港に来たのは何かしらの用事で、そのついでに僕に会うという話があるのだと思っていた。まさか香港に来た理由が「僕に会いに」だとは考えもしなかったのだ。だって僕らは今まで一度も会ったことがないのだから。

女の子たちに香港を案内してもらった後に会う約束をしていた方はナオさん。ナオさんとはネットを通じて知り合った仲で、共通点は「自転車」。ナオさんは今年ユーラシア大陸を横断する予定で、世界のサイクリング情報を共有するメーリングリストで知り合ったものの、面識はなかった。台湾近くのアモイにいたナオさんは僕が香港に滞在していることを知り、都合が合ったら香港に行くので会いましょう、といった連絡をくれたのだ。結果、香港で顔を合わせることになったのである。

ネットで知り合ったといっても、ナオさんの情報を僕は何も持っていなかったと言って良い。名前から男性だということは分かったものの、年齢等は予想も付かず、何をしている方なのかも知らなかった。ネットで知り合った人と会う、というのはそういうことなのだろう。ただ僕の中の時論で、自転車乗りに悪い人はいない、というものがあり、その点では多いに安心していた。

僕が泊まっている宿に来てもらうことでうまい具合に会うことが出来た。第一印象は、自転車乗りっぽくない精悍な顔つき。今まで出会ってきたサイクリストとは毛色が違う感じがした。改めて自己紹介をお互いにすると、ナオさんは現在中国の会社の社長とのこと。僕が知っているくらい名の通った企業だった。道理で、と納得。仕事の方はうまく回しつつ、兼ねてからの夢だった自転車旅に出るという話で、途中途中で講演会をやりつつ走るというのだから、これまたスペシャルな旅である。そんじょそこらの人ではない。

「で、これが全部作り話で、実は僕が詐欺師かもしれないんだぜ。」

と身分証明書を見せるナオさんは、本物の社長だと思った。実際に詐欺師だったら、きっと僕なんかじゃどうしようもなく、騙されるしかないのだろう。詐欺師のパターンが頭になかったわけではないのだけどさ。

そのときは青空の下にあるテーブルを囲み、香港の山に一緒に登ったヨウも同席して3人でお茶を飲んでいた。そんな中でナオさんの突然の一言。

「マカオに行こう!男3人で茶を飲んでたってどうしようもねえ。」

言葉に勢いがあった。さらに続く言葉が格好良かった。交通費も種銭も出してやる。勝ったらその金で遊びに行こう。負けたら帰ってさっさと寝よう。時間は金では買えないんだ。この出会いを楽しもうじゃないか、と。こうして僕らは出会って2時間も経たないうちにマカオ行きのジェットフェリー乗り場に向かっていたのだ。

香港とマカオは思った以上に近く、1時間後にはカジノにいた。さーてやるか、と始めたのは「大小」。ディーラーがサイコロ3つをふり、その合計が10以下の小、または11以上の大、どちらからにベットするのがベースのギャンブル。ディーラーが人の方は掛金の最低額が高いのでひとまずは機械の方でやってみる。その機械の方でも一回の最低額が30香港ドル(300円強)なので、70香港ドル(700円強)の宿に泊まっている身としては大金なのである。種銭は1人1000香港ドル(10000円強)で、それがなくなったら帰ろうという話で遊び始めた。

僕はギャンブルはやらないタチで、楽しむとしても麻雀くらいのものなのだが、やってみると面白い。中毒性があるのがよく分かる。大小の機械と向き合っていたら、あっと言う間に2時間くらい経ってしまった。その時点で種銭の1000香港ドルは2300香港ドルまで増えており、なんとなくここらへんが止め時な感じがしたので、僕はそこで終了。後は他の2人がやっているのを見ていたり、無料でやっているショーを見たりして楽しんでいた。

いつまでも機械と向き合っていても面白くないということで、もうちょっと賭ける額が高いディーラーが人のところへ移動。そこでは3人であーだこーだいいながら、ちょこちょこ(1回500香港ドル)くらいの勝負をしていた。そこで勝負している人の顔や掛け方、ディーラーの動きを見ているのが楽しくて全然飽きない。もっと高額の1枚で30000香港ドル(300万円強)のチップを重ねているテーブルの観戦は痺れた。見学している人も多くて熱気が違う。そこで賭けている人の顔つきや勝ったとき負けたときの表情の変化を見ながら、その人の生きている背景とか賭けている気持ちを妄想していた。人々の気持ちの昂りに包まれた空間にいると、高揚感が空気感染してくる。それこそがギャンブルにのめり込み、飲まれていく理由な気がした。

太陽の光とは全く関わりのない密閉された空間にいると時間感覚が消える。2晩、3晩と過ごす人がいるというが、その理由がよく分かった。アドレナリンが大量に放出されていることで眠気や疲れも麻痺するのだろう。かく言う僕らも、気付いたら午前2時くらいであった。その時点で種銭は全員合わせてトントンかやや負け程度。ここらへんがお開きのタイミングという話で纏まり、24時間行き来しているフェリーで香港に戻った。

こんな濃密な時間を過ごせるとは思ってもみなかった。きっと1人でマカオのカジノに来てもこんな世界を見ることはなかったし、あまり楽しめずにさっさと帰った気がする。ナオさんと会ったこと、その後カジノで過ごした時間はほんとスペシャルだった。旅を長く続けるにつれて時間は幾らでもある感じがしてきていた。時間はかけがえのないものなのだ。もっと濃密な時間を過ごせるはず、と身に染みた出会いだった。

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