僕は晴れ男である。旅のここぞという場面ではいつも晴れてきた。以前に国内を旅していたときは勿論、今回の旅でもそうだ。南極はほとんど晴れていたし、パタゴニアでの氷河、フィッツロイ、九寨溝、エベレストベースキャンプ、アンナプルナベースキャンプ等々。もしかすると雨が降ったときのことを都合よく忘れているだけかもしれないけど。だた、多いに期待していた場所で雨だったという記憶はない。
さて、今回のキリマンジャロは?
行程5日目に頂上を目指していた。朝方こそ晴れていたものの、バラフキャンプ(4600m)を過ぎた頃から空は雲に覆われた。視界不明瞭な中を絶えず進む状態。晴れてきたら頂上付近ってことだね、なんて言いながら登っていた。
頂上を咎める前に感極まってはしゃいだけど、その後も地道に標高を稼いでいた。そんな折に、すーと雲が割けていき青空が表れた。うおー!!!!頂上は近いのか!?
実際のところ、今回晴れるのはもう無理だと思っていた。あたり一面が完全に霧に包まれていたし、午後から天気が崩れるのはいつものことだったから。皆で頂に行ければ十分であり、それ以上を求めるのは贅沢だと。
しかし、僕の晴れ男っぷりはいい方向に期待を裏切った。飛び出してきた青空は次第に広がってゆき、ことごとく雲が彼方へ移動していくではないか。久しぶりに太陽を拝み、標高5500mを越えた未知の領域で強烈な光を浴びる。ハイテンションだけれどポレポレ(ゆっくり)という矛盾した心の動きと体の動きを見せるなか、看板を見つけた。あれは、、、
ステラポイント!!
といっても来るまで知らなかった。このポイントは5739mの仮ピークで、一応ここでもキリマンジャロ登頂ということになる。しかーし、ここで満足するわけにはいかない。5895mのウフルピークまで行かねば。
残すところたったの150mUPである。だが、絶望するくらいに遠かった。序盤は割合平気だった5日目だが、感極まってハグとかした後あたりから調子が悪くなり始めた。ステラポイントを知らなかったため、看板を目にしたときに緊張感を解いてしまった。一気に頭痛と吐き気がやってきたのだ。気持ちって大事なのね。
山頂のウフルピークまでの1時間は苦しく、辛かった。無心に歩き続けた先にはステラポイントと似たような看板が立っており、それを見たときに再び昂った。身体が呪縛から解放されたような感じ。一歩一歩近づき、看板の文字が見える範囲まで来る。
ウフルピーク!!!!!!
着いた。アフリカ最高峰キリマンジャロ山ウフルピーク5895m。夢の7大陸最高峰1つ目。ふつふつとわき上がる興奮。タケとリリーと顔を合わせ、共に喜びを噛みしめる。うおーーーーーーーーーーーーー
写真を撮り、動画を撮る。動画は今後の活動が繋がったときに意味を成すはず。タケも、リリーも、己の想いを動画に収めた。
小一時間くらいいただろうか。天気は良く、氷河を見渡すことが出来た。空が陰り始めた頃に下山開始。完全に高山病の症状が出ていた。しんどさMAX。
途中でタケが平衡感覚を失くして足元がおぼつかなくなった。ガイドのジェームズが支えられて下っていく。その道のりは長く困難だった。日が暮れた後にようやくバラフキャンプに到着し、着くや否やタケと僕はテントに潜り込んで倒れた。
その日の雑務はリリーが全て処理してくれた。言葉にならないくらいの感謝。リリーも疲れていたことは間違いないのに。僕は何も出来なかった。この場でもう一度言うよ、本当にありがとう、リリー。
なにはともあれ、皆でキリマンジャロ登頂。辛さ半分、嬉しさ100倍。1つ残念だったのはミッちゃんがそこにいなかったこと。けれど、こればかりは仕方がない。それが僕だった可能性だってあるのだ。
7大陸最高峰、またの名はセブンサミッツ。1つ目制覇。
下山が一番大変だった。ちゃんと下りる分の体力も残しておかないとね。
極限が見たいとずっと言っていたタケ。ふらふらになったのは本望か。キャンプ地までよく頑張った!
キリマンジャロ登頂への道
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