[チベット旅行]3.星空を見てアウトドア世界一周について考える

目を覚ます。身体は温かいのだが、顔だけを冷蔵庫に突っ込んでいるのではないかというように冷たい空気に触れていた。成都から出て4日目になる夜は、テントを張らずにマットの上に寝袋の中に包まって寝ていたのだ。傍から見れば、蓑虫のような姿で顔だけを出ている感じだろう。

仰向けに横になっている状態で目を開けると、空を覆っている光の量が半端なかった。おもわず左手を寝袋から出して眼鏡を探る。闇の中で眼鏡をかけてみると、それはもう信じられないくらいの星が瞬いていた。僕の裸眼の視力は0.1以下なのだが、その状態ですら、日本では凡そ見られないくらいの星の数だったのだ。そのまましばらく夜空と一体になったかのように時を過ごし、思いついたようにカメラを出してみた。

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中央下段にオリオン座があるのが分かるだろうか。カメラでは一部しか切り取れないの残念なくらいに、端から端まで星で埋め尽くされていた。

この夜空を見たときに、僕は自分が旅に求めていたものに気付いたのだ。このブログのタイトルは「PROJECT OVER ROAD」で、副題に「鈴木孝浩のアウトドア世界一周」としている。実は副題の方を先に決めた。副題をタイトルにすると、いかにも自分をアピールしているようで嫌だったので、後でタイトルを選んだのだ。本題のもともとの案は、このブログの管理人をやってもらっている人より頂いた。

自転車世界一周にしようかな、と考えたことがある。しかし、どういう旅がしたいかを突き詰めていく内に、自転車に対する拘りは特に強くないことに気付いた。走りたくないところはバスや電車を使えばいいし、そもそも自転車での旅を止めたっていい。ただ、自転車での旅を止めたとしても、今までやって来た登山やカヌーなどのアウトドアは確実に続けていくと思ったのだ。むしろ自転車を放棄したら、世界の山や川を訪れる旅になるだろう。

アウトドア、と漠然と括ってみたものの、登山とカヌーと自転車だけがアウトドアというわけではない。それらはただ僕が以前からやってきただけの話で、その3つのアクティビティで世界を舞台にして遊びたいのか。否。美しい夜空を見たときに気付いたのは、僕にとってのアウトドアとはキャンプだったのだ。というのは、東南アジアを自転車でぐるぐる回っているとき、キャンプは数える程しかしなかった。それはどこにでも人が生息しているという点においてやりにくかったからだ。さらにどこにでも飲食店と宿があるため、自炊道具とテントはいらないと感じるくらいだった。

しかし、何かが物足りなかった。中南米を自転車で旅しているときの方が刺激的であったのは、一重に景色の壮大さだけではなかろう。それは僕にとってのアウトドアの醍醐味がそこにあったからだ。自転車を漕いで、自炊して、野営する。それだけのことだけれど、ここから自炊と特に野営を抜くと、妙に味気ないものになる。夜空を見て気付いたというのは、こういう夜空との出会いもキャンプをしてなければなかなか出会わないからだ。ふとそのことに星を眺めながら考えを巡らせてみたら、原点はキャンプにあることを思ったのだ。

今回ネパールに抜けた後どこに行くかという問題がある。治安はまだ調べていないのでそれは別にして、陸路でつなぐとすればインド→パキスタン方面。インド→バングラディッシュはミャンマーが抜けられないし、そもそも西進せずに東進して戻ることになってしまう。インドは一度行ったことがある国でもう一度訪れたい国なのだが、自転車で走るイメージが湧かなかった。今更ながらに理由がはっきりと分かったのは、東南アジアと同じくアウトドアの旅ではなくなるから。インドを回るならばバックパックでいい。そういうことだったのか。どこに行くのかはネパールに無事に着いた後に考えることになるが、そのときの気持ち次第だろう。ネパールでのトレッキングやカヌーも楽しみで仕方ないのである。

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成都から出て3日目の夜は普通にテントを張って寝た。3日目あたりからちょくちょくチベット人を見かけるようになった。チベットエリアに近づいていることが感じられた。

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山の間を縫うように登って行く。

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登っている途中に2匹の犬が追いかけてきた。登りの最中で逃げ切れるわけもなく、まあ大抵の犬は付いてきても吠えているだけなので無視していたら、がぶり。ぷしゅ~、という音が後輪から聞こえてきて、あっという間に空気がなくなった。それで店を広げたようにしてパンク修理しているのが上の写真。チベットの犬は狂暴だって聞いていただどうやら事実のようだ。気をつけないとな。

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標高を約2200mまで上がったところにトンネルがある。その距離はなんと4km。今まで一番長かったのは北海道の積丹半島にある3kmの雷電トンネルだったかな。もっと長いのもあった気もするけど。その後一気に約1400mまで下り、再び約2600mの康定まで登るのだ。

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これが下りの途中からの景色。川沿いまで下りて川に沿って登る。

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4日目の夜は食店と書いてあるところに入った。飯、というと彼ら(工事の人)が食べているものと同じものを食べるように薦められる。流れでそのまま御馳走になってしまった。ラッキー。

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ここが4日目に寝て星空を見たところ。テントを張るのに良い場所がなく、道から100m程入った周りからは見えない窪みの中で寝た。ほんと美しい夜空だったなあ。

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思い返せば3日目から天気が良くなった。成都がある四川省は曇りがちで、ベトナムに近い雲南省は晴ればかりという話を聞くと、そのラインを越えたのかもしれない。んで、スピード出し過ぎのバスには要注意。

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5日目はただただ登り続けて康定に到着。約31kmの距離を3時間36分。時速は8.6kmである。南米でもアジアでも痛めた膝に気を使いながら一段軽いギアでこぎこぎ。一旦痛みを覚えると1ヶ月は取れないので、その時点でチベット走行が苦痛になってしまう。写真は休憩のときに出会った犬。

チベットの道

[チベット]1.全ては始まった
[チベット]2.まさか再び会えるとは
[チベット]3.何が足りないのかが分かった
[チベット]4.そうは問屋が卸さない
[チベット]5.必要な時間
[チベット]6.チベットとはこんなところだよ
[チベット]7.風邪+高山病+峠+夢
[チベット]8.警察に連れて行かれた
[チベット]9.思い込み
[チベット]10.標高4000mにて絶景の道
[チベット]11.チベット人の家に泊めてもらう
[チベット]12.出発して5分後にチベット人の家に招かれる
[チベット]13.鳥葬を見て死を想う
[チベット]14.勇気ある撤退と旅のパートナー
[チベット]15.チベット人の結婚式に参加
[チベット]16.浴室に泊まる
[チベット]17.チベットの家づくりに参加
[チベット]18.チベットの学校潜入







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ABOUTこの記事をかいた人

管理人のたかです。1984年4月20日生まれ。不動産会社での開発業、自転車世界一周、地域おこし協力隊を経て、愛知県新城市の古民家で宿泊事業をはじめました。SNSでフォローしていただくと最新記事を読むことができます。よろしくお願いします。