少し長いけれど、盗まれた自転車が奇跡的に見つかるとても素敵な話。
人を動かすときの想い、姿勢が伝わってくる。ムーブメントというのはこうやって起こるのかと感じた。自分が世界一周しているときに自転車を盗まれた記憶もよみがえり、涙が出た。
チャリヨシさんと僕
2009年~2012年まで自転車で世界一周していた。チャリダーをやっているとチャリダーの情報というものは入ってくるもので、折りたたみ自転車で世界一周しているチャリヨシさんのことも知っていた。
ヨシさんのブログも読ませてもらっている。特に僕がアフリカ大陸を南下していた際にヨシさんは北上していたため、アフリカ大陸南部の欲しい情報が綴られていた。毎日書かれる文章長めの日記、つぶやき、youtube動画、ルート情報等々、いったいどうやって時間を捻出しているんだろうと疑問が浮かぶほど充実している。
Fool on the Planet ~折りたたみチャリで世界一周私が死ぬまでに行きたい絶景で紹介したエチオピアのダナキル砂漠とエルタアレ火山の数枚の写真はヨシさんのブログから紹介したものである。ツアーに行く経緯やその魅力が存分に伝わってきて、何度も何度も読み返したお気に入りの記事。
つまるところ、僕はヨシさんのファンなのだ。
チャリヨシさんの簡単なプロフィールと旅情報
ヨシさんは折りたたみ自転車<BD-1>に乗って地球を一周中。世界広しと言えど、折りたたみ自転車で世界一周している人の話はヨシさん以外聞いたことがない。
自転車で世界一周した日本人の総人数は87名!?という記事を書いたけれど、その中にはいないはずだ。前代未聞なのである。
折りたたみ自転車で世界一周という前例がない偉業に挑戦したヨシさんにとって、初めての長期自転車旅行が地球一周。HPには以下の言葉が書かれている。
初めての長期自転車旅行が地球一周。しかも18インチタイヤのチャリで・・・無謀とも思えたこの企画も、やればできるもんです。進めMy Foot!
2014年2月9日におけるヨシさんの旅情報
現在地:Hungary(Budapest)
旅の日数:1,966days
自転車走行距離:about 50,203km
入国した国:72 (+6) countries
パンクした回数:201 times
自転車を折りたたんだ回数:466 times
もらった人の優しさ:数え切れず
もう5年以上旅を続けており、50000㎞以上走行している。ちなみに僕の自転車世界一周は2年半弱で23000㎞だった。
ヨシさんの自転車がハンガリーで盗難される
ヨシさんの自転車がハンガリーで盗難された。ヨシさんのブログ記事を順を追って紹介していく。
昨日、相棒を停めておいた場所に、なぜか相棒がいなかった。そこには、ペンチのようなものでブチぎられた太い施錠だけが落ちていた。
起こったことが信じられなかった。
ひょっとして今朝になって起きたら、全てが夢でしたというオチを期待してたのに。
やっぱり今朝も相棒はいない。
この気持ち、僕も共感してしまうのだ。なぜならオランダで自転車を盗まれたから。
・[近況]2011年8月15日オランダアムステルダム:自転車を盗まれた
・自転車の盗難にあって考えたこと
ヨシさんがすごかったのはここからである。相棒捜索大作戦が開始された。
ハンガリー警察は頼りにならないという情報から、いろいろな人に協力してもらうように動くヨシさん。まずは多くの人に知ってもらえるような働きかけをする。
今日は、こんな感じで動いてみたのだが、やはり動くと、情報は集まってくるものだ。
見たよ、という情報はないものの、「ノミの市とかに売り出されている可能性もあるよ」とか、可能性のレベルでの情報は入ってきた。
みんなが助けてくれる。一人ではなにもできなかったけど、皆さんの助けやアドバイス、協力、励ましが、<奇跡を起こせるかも>という気持ちにさせてくれる。
そして次の記事。
宿アンダンテのトミさんが、
メディア関係の連絡先をいくつか調べてくれたので、
本日、事情を綴ったメールを送ってみた。そしたら、その中の一つである
Bikemagという自転車雑誌のディレクターさんから
探すのを手伝うぞ、という返信が即返ってきた。BikemagのWEBにオイラの情報を掲載してくれたのをはじめ、
http://bikemag.hu/magazin/hirek/elloptak-a-japan-vilagutazo-kerekparjat-budapestenBikesafeというサイトの盗難自転車探しサービスに、
なんと50,000フォリント(約25,000円)の賞金をかけて登録してくれた。
https://bikesafe.hu/blog/view/id/elloptak-a-japan-vilagutazo-kerekparjat-budapesten-segits-megtalalni
ヨシさんの心の変化が綴られている。
自らが動くことで、周囲も動いてくれ、周囲が動いてくれたことが励みになって、自分もさらにがんばる・・・いいサイクルに入ってきてます。相棒がいないという事実は、相変わらず心に深く刺さっていて、夜、眠れなかったりもするんですが、気持ちは相当頑張れる状態です、ハイ。
そしてヨシさんの現状をしったテレビ局から取材したいという連絡が!!
犯人がこれを見て、返す気になってくれればいいのだが・・・
もし犯人が見てなかったとしても、どこかの街角で相棒を見かけた人が気づいてくれて、連絡してくれることを、ただ願う。
そして奇跡が起こった!
RTLというテレビ局で放送してもらった次の日(1/23)TV2とMTVAというテレビ局が新たに取材に来てくれた。RTLとTV2とMTVAは、ハンガリーの三大テレビ局。
この大きなテレビで放送してくれたことと、引き続き情報を拡散してもらっているネットのおかげで、オイラの大事な相棒が行方不明中だということを、ハンガリー中の人たちが知ることになった。
みんなが応援して、励ましてくれているものの・・・応援と発見は別物。
やはり、みんなに知ってもらうだけでは、見つかることにはつながらないのか・・・と心が折れそうになる。
一方、騒ぎが大きくなるにつれ、オイラ自身はまったく動けなくなってしまった。
メディアの取材を受けたり皆さんからいただいたメールに返信をする、ただ、それだけで一日があっという間に過ぎてしまうようになったのだ。
こんなことで、見つかるのか?
現実空間での探し物なのに。パソコンの前に座って、情報応対することが、探しているってことになるのか?
焦る気持ちだけが大きくなる
もっと有効な手段があるのではないか、他にやるべきことがあるのではないか、と思うも、何も思いつかない。
そんな感じで、オイラ自身が悶々としていた間に、実は、ブダペストの街では、実働隊が結成され、大捜索網が張られていた。
ニュースでオイラの事件のことを知って、励ましのメールをくれた人たちの中に<ブダペスト・バイク・マフィア>という市民団体の人たちがいたのだが・・・
彼らが、メンバー総出で、ブダペスト中のフリーマーケットを人海戦術で探し回ってくれていたのだ。
路上に並べて売りに出されていた一台の自転車が、<ブダペスト・バイク・マフィア>のサイトに掲載されていた、捜索中のオイラの自転車だったのだ。
そのことに気づいたマーティンが、<ブダペスト・バイク・マフィア>のメンバーに電話で即連絡。で、連絡を受けた他のフリマで動いていた<ブダペスト・バイク・マフィア>のメンバーが、すぐにかけつけ、売りに出されていたオイラの自転車を確保。その後、通訳として大活躍してくれていたトミを介してオイラに連絡が入った。
タクシーに乗ってフリマに駆けつける。警察が到着し、ちょっとした騒ぎになっていたフリマの人だかりを押しのけ、中に入って見えた自転車は・・・
確かに、相棒だった。
自転車を見つけたヨシさんが書いたことが本質を捉えている。ムーブメントを引き起こす鍵であり、大切なことだと思う。
結果的に、オイラ自身がやれることは、皆に動いてもらうってことだった。
探さなきゃって焦っていたけど、オイラ自身は、いただいた情報に丁寧に対応することしか出来なかったし、それに専念したからこそよかったのかもしれない。
きっと、その対応が熱意となって、皆さんに伝わって、オイラが想像だに出来ないくらいのウネリになったのだ。
スゴイことっていうのは、自分がコントロールできる範囲では起こらない。自分ではもはやコントロールできない<ウネリ>がスゴイことを引き起こすのだ。
今回の救出劇、奇跡が起こった、と最初思ったケド、いや、これは奇跡なんかじゃないと、思い直した。多くの人が動いてくれると、こんなにもスゴイことを人間は起こせちゃうのだ。これは、人が集いしパワーが掴みとったモノなんだと。
人ってスゴイ。人がつながることで生み出されるパワーってスゴイ。今回の事件は、ただ、そのことを実感させられた。
自転車一人旅で世界一周、自分の足でペダルを漕いで前に進んでいるから、まるで、独力で凄いことをやっているような思い上がりを持ちがちだけど、一人で走っていることなんてのは、全然本質じゃない。
自転車旅のホントの本質ってのは、走りを通じて出会った人と人とのつながりなのだ。
涙が出た。止まらない。
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