神秘的であった。乗っていた船は3日前まで確かに人の気配を感じるところにあったのに、それはまるで異世界に紛れ込んだと思える空間にいた。26日の夕刻にウシュアイアを発ったオランダ船のPLANCIOUSは27、28日でドレーク海峡を越えた。噂に違わぬ波の激しさを伴ったドレークは、ベッドで寝ていると、遊園地にあるバイキングの360°バージョンに乗っているかのようだった。
29日の朝に南極大陸を、さらには氷河を確認したとき、今までの世界とは遠く離れた別次元の空間に来たと感じた。船から見える海は青というより紺に近く、一点を見ていると吸い込まれるような気がしてくる。その海に存在する氷河は途方もない大きさで、圧倒的な存在感を醸し出していた。そこから発されているような冷気が甲板に立っている僕を刺した。海を飛び跳ねる何かがイルカにしては小さく、よく見るとペンギンであった。
その日から南極大陸上陸とゾディアックという名のエンジン付ゴムボートでのクルージングの日々が続いた。上陸してはコロニーを形成するペンギンの数にびっくりし、彼らの愛らしいコミカルな動作に見とれるばかり。地上にいるアザラシも、泳いでいるアザラシも、すっとぼけた顔を間近で見た。
クルージングでは氷河の織り成す絶景に目を奪われ、崩落の瞬間は息を呑んだ。5Mもの至近距離でクジラが潮を噴き、美しい弧を描いて海に潜る。五感で感じる何もかもが心を捉えて話さなかった。来て良かった、心からそう思った。
※次回以降に写真を載せます
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ぇ、ペンギン見てんじゃん!w