物事には終わりがある。終えなければ、次へ進めない。返して言えば、終えることは次へ進むことであり、次へ進む覚悟がようやく決まったというところか。2年半の旅の終止符を打つ日が近づいていた。
ナミビアでナミブ砂漠を堪能したのちに、ウイントフックからバスでケープタウンへ移動したのが6月11日。ケープタウン発の帰国の航空券が18日だったので、時間は限られていた。
最終目的地は喜望峰。英語名では「Cape of Good Hope」。いい響きだ。直訳すると希望岬であり、喜望峰という名前が定着したのは誤植によるものと考えられているそうな。ただ、喜んで望む峰って名前もなかなかいいと思うのよ。喜望峰のゴールっぽい感じに惹かれて、ここをゴールにした。(ウガンダにてゴールを決めたときの記事)
ちなみに喜望峰ってアフリカ大陸の最南端って思っていたけど、実は違うのよネ。そこから東南東に焼く150km離れているアグラス岬が最南端で、そこがインド洋と大西洋を分ける。喜望峰は最南西端といわれているけど、最南西端ってどうやって決めるのかな?北西から南東方向に斜め45度の線を引いて、もっとも出っ張っているところが最南西端なんだろうか?
それはさておいて、6月12日の15時頃にケープタウンに到着し、13日から喜望峰を目指して自転車をこぎ始めた。ケープタウンまではバスで来ちゃったけど、喜望峰にはやっぱり自転車で行かないと!!ケープタウンから2泊3日の喜望峰チャリを開始したのだ。
不思議な感じだった。もうすぐ、旅が終わるのだ。2年半に及んだ旅が。自転車を漕ぎながら、旅を振り返る。アメリカから始めてアフリカまでやってきた過程を頭で追っていく。数多くの出来事と出会った人が浮かんでは消え、浮かんでは消える。長いこと旅をしてきたことを実感した。
ゴールを目前にして喜びとか悲しみとか寂しさとか入り混じった感情が全身を覆っているのは自転車日本一周をしたときと一緒だったんだけど、違いがあった。日本一周のときはまだ終わりたくない、もっともっと続けていたい、という想いが大きかった。今回は、もう終えどきだ、そろそろ違うことをしたい、といった気持ち。
実際、今回の旅で行きたかった場所にはほとんど行くことが出来た。もちろん行き残した場所はあるんだけど、それはまた今度でいいかなって。全てを一度で巡る必要はない。訪れた場所に関しては大満足だし、素晴らしい出会いも数多くあった。命にかかわる事故もなかった。大満足なのだ。
そんな風に思いながら、13日の昼頃に喜望峰へ到着。感慨深くはあったんだけど、あまり実感がわかなかった。たぶんに影響しているのは、ゴールだけど旅の終わりではないということ。
喜望峰からケープタウンまで自転車で帰るし、その後も数日南アフリカに滞在する。日本に着くのはまだ先で、「家に着くまでが旅」という点において、喜望峰で気を抜くわけにはいかない。そこらへんの按配が、変な感じだった。
喜望峰ではケープタウンから車でやってきた宿で出会った日本人らと合流して束の間のひとときを共にすごす。再び車で帰る彼らとは別れ、僕は15日にケープタウンに戻った。
自転車旅のゴールを迎え、夢のような時間の幕は閉じようとしていた。次のステージへの希望をもらったような気がしたんだ。
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