ボードゲームを作りたい人が読むべき、ボードゲーム制作者のインタビュー記事まとめ

どーも。アナログゲームを普及する会代表のボードゲームマスター「タカ(@viatortaka)」です。

ボードゲームにはまり、こよなく愛している。布教活動を続けており、自分の周りやこのブログを読んでくれている人でボードゲームの購入に至った人はかなり多い。そんな中で僕はボードゲームを作りたいと思っている。自分のゲームをみんなにプレイしてもらうなんて、至上の喜びだよね!!!

だが、ボードゲームの作り方というのは謎である。アイディア→ゲームデザイン→テストプレイといった流れで作り上げていくのだろうが、マニュアルは存在していない。

一体どこから手をつければよいのか分からないために試行錯誤するのだろうが、その前に世界の名だたるボードゲーム制作者のインタビュー記事を読むというのは良き知見を得られると思った。

ボードゲーム王国と言えばドイツで、有名なボードゲームの多くがドイツから産まれている。ドイツではボードゲームデザイナーを作家と呼ぶのだが、ボードゲーム作家のインタビュー記事を翻訳してくれている精神科医のボードゲーム日記というブログがある。

精神科医のボードゲーム日記

英語などで書かれたインタビュー記事を日本語に翻訳しており、非常にありがたい。幾つか紹介しよう。

まずは僕の大好きな農業ボードゲームであるアグリコラを作ったウヴェ・ローゼンベルクへのインタビュー記事。

ローゼンベルクが語る「アグリコラ」ができるまで(1)(インタビュー記事)
ローゼンベルクが語る「アグリコラ」ができるまで(2)(インタビュー記事)

ゲーム作りの考え方のところがやはり参考になる。

⑥ユーロゲームの中で好きなものと好きでないものは何ですか?

メカニクスが特殊なゲームは好きだよ。
多少作り込みが甘かったとしても、アイディアが新しい面白いゲームをやるのは好きだ。
版元にデザイナーが制作期間をもう少し長く取ってもらえれば有難いのにな、と思うよ。開発の時間は大事なんだ。コンピューターゲームでもたくさんの努力が要るけれど、ボードゲームでもそれは同じなんだ。
駄作はいくらでもあるが、名作を見つけるのは難しい。
・オリジナリティや新しいアイディアがあるのか
・編集・修正をしっかりやったか
ここが一番重要なんだ。常に新しいアイディアを元にした新作を作れると良いね。いろんなタイプのゲームを作っていければ、違ったタイプのプレイヤーに合ったものができるから。

模倣品は失敗するよ、絶対。
また、一つの突出した戦略を推奨するような設計でデザインすると、これまた良いゲームにならない。広がりを持たせたバランス調整が大事だ。
僕たち製作者はこういう問題と戦いながらデザインしてるんだ。ずーっとテストをしてデバッグしてね。
ただどこかで時間はきっちり区切って、終わらせなくちゃならない。変更箇所を追加すると、またテストが必要になって、いつまで経っても終わらなくなっちゃうからね。

⑩ボードゲームの質はどこで決まると思いますか?

・内容がちゃんとあるか
・ターゲットはどういう集団か
・ターゲットにどうやってアピールしているか

このあたりはマーケティング上必須だね。
カルカソンヌのような絶対的な一流のゲームは、さっき挙げたように、いくつものレベルの楽しみ方がある、というところで評価できる。
「カルカソンヌ」という名前を付ける際に、ハンス・イム・グリュック(デザイナー)はかなり努力して、全ての人が発音しやすいタイトルにしようと相当の努力をしたらしい。
基本的に成功だったけれど、最後の文字がeだったのが唯一問題だったらしい(訳注:何が問題なのだろう?)
カルカソンヌなんて町の名前、僕もこれまで聞いたこともなかったよ。『ケイラス』もそうだけど、フランスの都市の名前を付けると売れるのかもしれないね(笑)

⑪ゲームデザインを始めたときのことを教えてください。何か訓練やコースを受講したり、学校に行ったりしたんですか?

そういうのはないね。
ゲームデザインを始めるなら、とりあえず既存の好きなゲームに手を入れてみるのが一番いいんじゃないかな。

⑬アグリコラについて教えてください。
最初に、本当に大きな成功をされておめでとうございます!
制作を始めたのはいつで、どれだけかかったのですか?

全部合わせると2年近くかかった。
2005年の11月に、ケイラスをずっとやってたんだ。
ケイラスの修正版が、アグリコラの最初のスケッチだ。
2005年の12月は、30日間ずっとひとりでプレイしていた。
2006年の3月には満足のいくテストシナリオが出来て、これでプロジェクトを終わらせられる見通しがついた。
でもね、プレイするのが楽しすぎて新カードを1年間開発し続けちゃったんだ。アグリコラがこんな風に豪華なものになったのは、マーケティング上狙ったものではなくて、私の個人的な情熱なんだ。
(訳注:アグリコラの最大の魅力にして、初プレイの人間にとって敷居を高くしているのはとっつきづらくしているのは、200枚を超えるカードにある)

それから1年以上経って、やっと2007年7月には編集作業に移行した。
カードルールの設計については、マジック・ザ・ギャザリングをモデルに据えた。「カード同士で矛盾が起きないルールをどう作るか」は、非常に参考になったよ。
カードテキストを作る上で、ハンノ・ギルクと私は共通の言語をできるだけ首尾一貫させるように心がけた。
アグリコラが2007年9月には出版。そこで僕はやっと休暇を取って、そのときにはアグリコラの成功を喜べるようになった。2005年11月から、ほぼ2年だ。

⑭農場を建て、そして効率良く経営していく――これはすごいアイディアだと思います。
このようなシンプルで賢い発想は、どうやって思いついたのですか?

このテーマはずっと温めていたものだった。
「ケイラス」のワーカープレイスメントのメカニズムは変えようと考えていた。
・もっとたくさんのワーカーを、いろんな場所に自由におけるようにしたい
・全員が2体のワーカーを持っているけれど、もっと増やしたい

こういう意図があって、それで「小家族」というテーマが、「農場」の先に生まれた。

「レーベンヘルツ」をやりこんで、王国のようなものを建築したいと考えた。
「アンティクイティ」というゲームから、「収穫のメカニズム」も取り入れたいな、とも思った。
さらに、家族が増えるなら住居も建てないとならない、というアイディアも気に入っていて、そういうところから「小家族が住居を建て、農業を行う」というアグリコラの原型が生まれてきたんだ。

追記で「この記事が出た数年後に取られたインタビューを見つけましたが、かなり面白かったです。下訳は終わっているので、来月などにアップすると思います。ローゼンベルクの内面やアグリコラ以前/以後でいかに作風が変化してきたかを描いた、優れた記事でした。」と書かれており、楽しみで仕方がない。よろしくお願いします!!!

もう1つ紹介したいのは、マック・ゲルツのゲーム制作の秘密である。こちらはインタビューが非常に分かりやすい。

マック・ゲルツのゲーム制作の秘密(1)(インタビュー記事)
マック・ゲルツのゲーム制作の秘密(2)(インタビュー記事)

マック・ゲルツの作ったゲームを知らない人はリンクに飛んで確認しよう。冒頭でゲーム概要を説明してくれている。

⑩「ナヴェガドール」に話を移しましょう。
「インペリアル」に迫る人気が現在あります。どうしてここまで人気が出たのでしょう?

「ナヴェガドール」は「インペリアル」と比べて、重すぎないし、対決要素が少ないというのが大きな特徴だね。それが多くの大衆にアピールできたポイントだと思う。
それと、グラフィック上の見た目も大きな要素だろう。ここは一番力を入れた部分だ。
それでも「ナヴェガドール」は運要素が極めて少ないし、正直言ってあまり簡単ではない戦略ゲームだ。そういった難しさはあるが、それを僕の開発した「ロンデルシステム」がうまく緩和できていると思う。
ロンデルシステムによってゲームは一定以上の速さが保たれるし、ゲームの終わりまで「どの選択にしようか」と楽しく悩むことができる

訳注:ロンデルシステム
イメージ 1
写真のような、円グラフ状のメカニクスを用いて行動決定をやるシステム。
説明が難しいが、こちらのリンクの「ロンデル」の項がわかりやすい。

⑪「ナヴェガドール」のメカニクスも評判が良いです。どういうところからインスピレーションを得たのですか?
非現実的なテーマを、丁寧にしっかりと作り上げたからこそ、こうした高評価につながった、とお考えですか?

ナヴェガドールのメカニクスが非現実的だとは思っていないよ。

・植民地から商品を奪う
・奪った商品が市場に流れる
・商品の希少価値が薄れ、市場価格が値下がりする
・逆に生の原材料を加工する工場の需要というものも存在する
・工場による加工で市場価格が再び上がる

こういった流れで「ナヴェガドール」では資金と商品が動いていく。
いささか計算の手間がかかるシステムだが、非常によくできていると自分でも思うよ。需給の全体の流れによって各プレイヤーの「どの地域をいつ開拓するべきなのか」という方針が決まる。そして他プレイヤーとの、ほど良いインタラクションが生まれる。
かなり手慣れたプレイヤーでも、市場の流れをつかみ切るのは難しい。価格の変動によって、他プレイヤーも動くというのを肝に銘じておかなければならない。

⑫「インペリアル」や「古代」のころから、戦闘や直接的なインタラクションの多いゲームを作ってきました。
これはわざとですか?

他プレイヤーを過剰に傷つける行動がとれてしまうゲームは、デザインするべきではないと思うよ。
というのも、一人のプレイヤーだけがイライラすると、全体のムードがむちゃくちゃ悪くなるからだ。
「インペリアル」ではたしかに攻撃的なプレイはできるし、ゲームデザインとしてもむしろ推奨している。ただ、特定の1プレイヤーだけを狙うことはたいてい起きないように作っているんだよ。全参加者がちゃんと楽しめるゲームを作りたいと考えている。

⑬ゲルツさんの作品では、自身で開発したユニークな「ロンデルシステム」をほとんどのゲームで採用しています。
・どのように開発したのか
・ロンデルシステムによってどのような問題を解決できたのか・
・まったく異なるゲームでも採用しているのはなぜか
教えていただけますか?

ロンデルを最初に使ったのは30年前だ。
そこから今にいたるまでの長い長い話をするのは、ちょっと難しいね。
ロンデルを使う最大の長所は2つだよ。

プレイヤーの選択肢が数個に絞られること。
ゲームがスピードアップすること。

これにつきる。
また、ロンデルを用いれば、規定の順序を一個一個やっていく形式よりも、かなり多様な展開になる。戦略の幅が広がるんだ。ロンデルの特定のマスだけに止まるようにするような特殊戦術を組むことも簡単にできる。しかも他プレイヤーが何をやりたがっているかも見えやすくなる。
ロンデルによってゲームが早く、簡単になり、しかも同時に深い戦術・戦略を取ることもできる。もちろんロンデルが1個あればそれで全部解決というわけではなく、ゲームの別のメカニクスやテーマも大事だけどね。
ロンデルは、まったく異なったゲームでも広く使えるメカニクスなんだ。

⑭私がゲルツさんのゲームで個人的に好きなのは、ランダム性が少ないところです。
普通、ランダム性のないアブストラクト・ゲームだと、より戦略的な真剣勝負のゲームになります。そうすると、分析しないといけないことが増えて、プレイ感が重くしんどいものになってしまいます。
しかし、ゲルツ作品ではたくさんの要素がうまく組み合うことで、良い感じで風が抜けて、過度な分析が起こらないような工夫がなされています。
これも狙ってやっていることなのですか?

多くの分析を必要とするボードゲームは好きじゃない。というのも、その手のゲームって佳境になると、手が止まってしまうんだ。大事な局面だと長考に入っちゃって。
最終局面で1プレイヤーが長考に入っちゃうと、他のみんなは考えることもやることもなくて、退屈してしまうね。そういったことを助長するゲームデザインは最悪だと思っている。
プレイヤーが複雑な計算を全部やらなくても直感的に動かせる。これを最重要視してデザインしている。だから、質問のように言ってもらえると嬉しいよ。

⑮かなり多岐にわたるテーマのゲームを作っておられますが、これらのゲームは、最初にテーマに興味を持って始めるのか、それとも作ってみたいゲームシステムのメカニクスありきで作り始めるのか、どちらが多いですか?

テーマありきの方が多いかな。
「古代の地中海」とか「近代の西欧」とか、そういったテーマからインスピレーションをもらって、いろいろメカニクスを作って試すね。
歴史的なテーマが好きだし、歴史上の地政学的なマップが多いのもそのせいだよ。

次は日本人のゲームデザイナーの江神号さんのインタビュー。ハコオンナ、マタドーン、ヌシも悪よのぅ、犯人は探偵の中にイるなどを作った方である。

日本ボードゲーム界の異端児に聞く!ボードゲームデザイナーとして生きていくには?

ドイツゲームとの差を作ること、面白さの振れ幅を大きくすることが大事だと思っています。

ドイツゲームは学者さんが作っていてきれいにバランスをとっているため、何度遊んでも事故ることなく面白い。でも僕らは学者さんではない。とがったものでないと同じ舞台で勝負はできません。なので、事故は起こるけれども何回かに一回異常に面白くなるようなゲームや、部分的に過剰にこだわったゲームを作るよう心がけています。

高級料理店とラーメン屋さんに似ています。ドイツゲームは高級料理店で僕らはジャンクフード。味に特徴を付けて、若い子は好きだよ。でも年寄りは絶対受け付けないよ。みたいな味付けをしないと生き残れません。

学者さんたちと同じところで勝負するのが難しいなら、違うところで勝負するというのも、ひとつの戦略ですよね。

もちろん日本で同人ゲームという形でボードゲームを作っている人でも、頭のいい人はシステムから、ドイツゲームのように理論立ててバランスをとりながら作っています。ドイツゲームが好きで、愛してきて、自分たちもそこを目指そうっていうラインに乗っている

まず、アイデア段階では、思いついたことを名刺サイズの紙に書き、壁一面貼ります。自分の中で膨らんでしまったイメージをわざと一度忘れてから、後で壁一面に貼ったネタを見直して、本当に面白いアイデアはどれなのかをジャッジします。

ジャッジの時点で光っていたら、そのアイデアのルールをこねてみます。そこまで進むのはアイデア30個中たった1個くらいの割合です。

次はいろんな人にアイデアを聞いてもらい、リアクションを見て、反応が悪いと思ったらそのアイデアは切り捨てます。「面白いね」と言われると、根幹のシステムは悪くないと判断して残します。残るのはさらに1/30くらいです。

残ったものにゲームとして成立するようにシステムを付け加えることで、おおむね形になります。年に3個くらいです。

根幹のシステムに細かいルールを肉付けし、整えていく作業には技術が必要です。これは、修羅場をくぐることでどんどん鍛えられてきましたが、今でも苦戦します。

販売の儲けについても言及しており、11月1日のWBS(ワールドビジネスサテライト)で放送していたゲームデザイナーの伊藤深さんは年収1000万円といっていたが、やはり結構難しいそう。

もっと儲かるものだと思っていました。今回ハコオンナが売れてわかったのですが、自分のゲームがランキングの上位にいてこのくらいということは、月に50個売れているゲームは数えるほどしかなく、多少利益率をよくできても生活を一変させるほどの稼ぎにはならない。つまり、今はボードゲームデザイナーとして食うのはかなり大変!

ハコオンナが当たるまでは、いつかゴールドラッシュみたいに「金がほれたー!」ってなる予定だったんですが…金はまったく埋まってなかった。掘り当てたのは銅でした。ずっとがんばってたのに銅かよ……的な(笑)。市場規模はほんとに小さいなぁと。

ハコオンナひとつで利益が250万ほどあっても、年に1つしか作れないと、サラリーマンの平均年収には届きません。僕にはハコオンナ級のものを年2,3本なんてそう作れない。これが今のボードゲーム界の現実です。

ただ、僕が体験した数字は今の市場規模の場合です。市場が倍になれば、生きていけるようになるボードゲームデザイナーは増えます。

倍、つまりハコオンナが5,000個売れてたら、利益は500万です。このレベルの利益があれば、デザイナーとして十分生きていける人が増えるのではないでしょうか。

最後に面白いのでまたやりたいゲームにランクイン(僕の中で)しているグレート・ウェスタン・トレイル(Great Western Trail)の作者アレクサンダー・プフィシュター(Alexander Pfister)氏のインタビュー記事。同じウェブサイトで2つある。

インタビュー和訳『アレクサンダー・プフィシュター』 by Contorlled Area Gaming
インタビュー和訳『アレクサンダー・プフィシュター』 by Meeple Mountain

アイデアがある時は、可能な限りまずテストプレイをします。これは他のゲームや手書きのカード/ボードを使って行います。私はプロトタイプを作るのにあまり多くの時間を費やさないようにしています。

最初のテストプレイが面白かったりポテンシャルが見えれば、そのまま進みます。より良いプロトタイプを作り、再度テストプレイを行います。できれば、他のゲームデザイナーと一緒にです。これらのゲームはまだゲームの完成形になっていません。ゲームのポテンシャルをテストする為だけのものになります。

この次のステップが、ゲーマーにとってのプロトタイプとなりうるでしょう(ゲームの終了条件やイラストなど)。それから数多くのテストプレイを行ないます。

十分な深さを保った上で、可能な限りシンプルなデザインになるように努めています。『モンバサ』は、よりシンプルなものでした。しかし、出版社はより重量級ゲームを望んでいました。

ゲーム自身にランダム要素があるならば、ゲームはよりいっそうシンプルで短くあるべきであると考えています。

ボードゲームを作りたい欲が高まってくる

ボードゲームを作るというのはエネルギーが必要である。自分の時間をどれだけ割くのかが問われている。まだ一度も完成までいったことがない身として、こういったインタビュー記事はやる気をくれる。

時間ができたら、という言い訳をせずにまずは1つのボードゲームを完成させてみたい。

最後に僕がおすすめするボードゲームを紹介しよう。

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ちゃお!

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