今の世の中は物で溢れている。同じものがリアルの店舗でもネットの店舗でも買うことができる。同じものであれば、価格が安い方を選ぶのが合理的だろう。しかし、そんな世の中でもファンを作るのが今の商売ではないかと思うのだ。
・消える書店:ネットに負け相次ぎ閉店 地域中核店も
・[本][社会]なぜ、Amazonで本を買わないの?
上のリンクはアマゾンによって客を奪われた書店が潰れて行く記事で、下のリンク記事はそれの考察をしている。下の記事のfujiponさんは以下のように結んで記事を終えた。
この記事に対するはてなブックマークコメントには、「情に訴えるだけでは、便利なネット通販にかなうわけないだろ」というような厳しいものも少なくありません。
でもね、こういう世の中だからこそ「いままでずっとつきあってきた書店を応援したいから、せめてここに置いてあるものはここで買う」っていう「書店を必要とする人たちの気持ち」こそが、リアル書店にとっての「最後の砦」だと僕は思うのです。
世の中には「何かを応援して高揚感を得る」というために、見返りのない出費をしている人って、たくさんいるから。
そして、彼らはそれを楽しみにしているのだから。
僕もこれに同意する。自分自身もそうだし、身のまわりにもそういう買い物をしている人をいっぱい知っているから。
世界一周をする自転車を買ったときの話
世界一周をする前に自転車のメンテナンスをしてもらおうと、自転車屋に日本一周した自転車を持っていった。そこでいろいろと相談にのってもらい、そそのかされた結果、世界一周用の自転車をあたらしく購入することにした。
その際に自転車本体だけでなく、サイドバックやらキャリアやらスピードメーターやらといった付属品も合わせて購入した。ネットで買った方が安いことは知っていたけれど。
相談にのってもらったという恩もある。しかし僕は、その自転車屋の店長から買いたい!と思ったのだ。
今のご時世、ほとんどのものをネットで買った方が安い。リアルの店舗は価格以外のなにで差別化するのかを問われている。その1つが、この人から買いたい、この店がなくなったら困る、という客側の気持ちなのだ。
価格以外の価値基準を持つこと
2年とちょっと世界を旅していて、数多くの旅行者に出会った。世界の旅人のなかでも、日本人は価格を重視する傾向があった。時間をかけて物を比較し、価格が安いものを選ぶ。
それに対して欧米の旅人のざっくばらんとした買い物の仕方。彼らは「これが良さそう」という感覚を重視しているように見えた。
例えば宿を探すときの話。日本人の旅人と一緒にいるときは複数の宿を見て回り、良さそうなところを選ぶ。欧米人の旅人と一緒にいるときは、お互いがOKを出したところで決まる。
もちろん「人」によってそれは変わるのだけれど、全体的な傾向としては当てはまるはず。
どちらが良い悪いという話ではないが、価格以外の価値基準がある社会の方が物を提供する側もいろいろなやりようがあるし、さまざまな店舗が生き残る。消費者が社会を作っているのよね。
漫画好きの友人の漫画の買い方
友人宅に行ったときに、同じ漫画の1巻が3冊もあったからなんでかと思った。そうしたら作者のファンかつ、その作者の漫画が打ち切られそうなので1巻を5冊買ったという。5冊のうち2冊は興味を示した人に配り、残り3冊のうち2冊も配る予定とのこと。
これには驚いた。
その友人は消費者としての意識が高い。サービス提供者、今回で言えばその漫画を作るにあたって携わっている人々を自分が支えているという考えがある。
1人1人の力なんてたかが知れているけれど、それが集まってパワーになる。
スカイマークエアラインを撤退させたANAとJALの戦略
以前に書いた記事。
格安路線で展開してきたスカイマークに対し、対抗して運賃を安く設定していたANAとJAL。格安のイメージが強いスカイマークよりも安い運賃を打ち出した。そしてスカイマークが路線の運休を発表すると、ANAとJALは運賃を値上げした。
商品の価格だけでなく、さまざまな情報から総合的に考えて購入先を選ぶ必要がある一例ではなかろうか。
最後にタイトルメッセージ
応援したいから買う。消費者が購入先を選び、存続させる時代なのだ。
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