モハカ川に出発する前のことだった。ネイピアの街で車をレンタルすることにした僕らは、レンタカー屋へ向かった。そこで車を借りてカヌーをしに行くことを話すと、レンタカー屋の奥さんもカヌーをするらしく、話が弾む。そのまま家に招待され、ネイピアでの拠点はその家となった。
夜はBBQをいただく。僕らはお好み焼きを振る舞った。
夜が更けるにつれて盛り上がっていく。僕の「旦那さんと奥さんはどうやって知り合ったんですか?」という質問がトリガーを引いたようで、半端ない話が始まった。
奥さんが話し始める。
「私が19歳の頃、世界を旅に出たの。いろいろな国を巡ったわ。そして29歳のときにニュージーランドに帰ってきたの。」
!!!!!??????
え???
僕は英語が達者ではないので、聞き違えたのかと思うわけ。冒頭で奥さんがいきなり10年放浪しているんですケド!!
質問する間もなく話が進んでゆく。どうやら聞き間違えではなさそうなのだ。
その話を要約すると、
1 奥さんが19歳から29歳まで世界を放浪する(まだ旦那とは出会っていない)。
2 奥さんがニュージーランドに帰ってきて、バーで旦那と出会う。
3 旦那が奥さんに一目ぼれする。
4 2人は結婚し、2人の子供を授かる。
5 奥さんがもう一度世界を巡りたいということで、旦那がビール会社を辞めてバーの経営を始める。
6 5年でビジネスを売却する予定でバーを始めて5年で売却する。
7 アラスカからメキシコまで1年半かけて自転車で縦断する。11歳の息子と4歳の娘を連れて。
8 そのままアメリカに滞在し、アドベンチャーレースにはまる。
9 5日間かけて競うアドベンチャレースの大会で、奥さんが所属しているチームが全米3位。
10 旦那はそのチームのサポート隊の隊長をつとめる。
11 その後ニュージーランドに戻ってきて、レンタカーのビジネスを始める。
12 5年で売却予定でそのときが2年目。順調に車の台数を増やしており、おそらく予定通り売却可能。
13 奥さんはアイアンマンレースに2ヶ月に1回くらい出ており、上位入賞者。
14 レンタカーのビジネスを売却したら、万里の長城をすべて歩きたい。
といったところ。信じられない人たちである。
今でこそ自転車世界一周などをして様々な人に会ってきたから、多少はすごい人に対する耐性ができてきたけれど、当時は驚愕だった。写真を見せてもらいながら説明を聞き、すごいを連発した記憶がある。
そこで
「世界一周を家族でいくアイディア」や「アドベンチャーレースが面白そう!」
といった思考を得ることができた。この出会いは僕に大きな影響を及ぼしている。
まじで半端ない。
ガレージはアウトドアグッズだらけなのである。
50歳を超えているようには見えないお二人。
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