エベレスト街道トレッキング1:登山初心者の想い

山登りはあまり好きではない。

僕がアウトドアを始めたきっかけは、大学入学時に選んだサークルに因る。そのサークルは自然人倶楽部という、後によく飲み会の幹事を多くやることになったとき、店の予約をする際によく聞き返された怪しげな名前のサークル。実のところは割としっかり運営されており、その中心が登山・自転車・カヌーというアウトドア活動だった。自然人倶楽部にはもともと入ろうと思っていたわけではなく、新歓コンパという新入生が安く飲み食い出来る場所として顔を出した中の1つのサークル。入学した4月の段階では小中高と続けていたサッカーをやろうと思っていたのだ。

サッカーサークルの新歓の練習を巡っている中で半月板を損傷し、しばらくサッカーが出来なくなった。主に回っていたサッカーサークルが選択肢からなくなり、なんとなく顔を出していた航空部と自然人倶楽部の2つで迷った。GWに航空部の合宿と、自然人倶楽部の自転車旅に参加して、最終的にアウトドア旅を楽しむことに決めた。だが、当時興味があったのは自転車旅とカヌー旅であり、登山には全くと言ってよい程関心がなかった。

自由参加がモットーの自然人倶楽部では、登山に興味がなければ参加する必要はない。それでも喰わず嫌いは勿体ないと、大学3年時に北海道の北東部で世界自然遺産に指定されている区域にある羅臼岳に登ったり、大学4年時には長野の北部でスキー場なんかで有名な白馬岳に登ったりしてみた。しかし、それでも自転車やカヌー程の面白さを感じることが出来ず、のめり込むことはなかった。サッカーサークル選びの段階で壊した膝が下山時に痛みを感じるのは、のめり込むに至らなかった大きな理由の1つだった。

かくして登山の喜びを知らないままに社会人となった。平日は仕事がある中で、週末は旅に出てリフレッシュしたいと思ったときに、自転車旅やカヌー旅ではどうにも物足りないと気付く。というのは、東京近郊を自転車で走ってもさして面白くないし、かといって電車で遠くまで行って、自転車を組み立ててちょっと走って、また分解して電車に積んで戻ってくるというのもせわしない。カヌーも同様で、わざわざカヌーを運んで川辺で組み立てて、川を下って折り畳んで、というのは土日では短い。そんな中、リュック1つ背負ってふらっと山に出かけてみたら、これこそ週末に適した遊びだと悟った。準備も大変ではないし、近場の山ならば土曜の朝に家を出て、日曜の昼過ぎに下り終える。山の付近の温泉に入り、都内に戻って酒を酌み交わして大満足で終えることが出来た。それから2連休のときには専ら山に行くこととなった。

社会人となって6月に初めてのボーナスをちょっと貰ったときに、ワコールのCW-Xというタイツを自分にプレゼントした。1万5千円という高価なものだったが僕の膝の保護にはすこぶる効果的で、こいつなしではだめだと思うくらいに重宝する一品となった。今回の世界一周にも持ってきており、自転車旅にも山登りにも大活躍している。そういった優れ品との出会いもあり、膝の痛みも緩和され、月に1~2のペースで山に登るようになった。週末に登っていたのは標高1000~2000mの山だったけど、続けている内に世界で一番高い山はどんな感じだろうと思うようになっていった。

「いつかはエベレストに登りたいなあ、、、」

そんな想いを胸に秘めつつ、社会人1年目の7月には南アルプスの女王と呼ばれる仙丈ケ岳(3033m)に、8月の夏休みに北アルプスの槍ヶ岳(3180m)と穂高岳(3190m)を縦走した。秋は紅葉を見に涸沢に行き、冬は蓼科の麓の雪山を散歩してみたりと、少しずつ経験を積むようにした。それでエベレストに登れるわけではないけれど、もしも将来登ることになったら、これらの経験が糧になるだろうと信じて。

世界一周に出るにあたって、エベレストベースキャンプ(以下エベレストBC)はどうしても行きたい場所の1つだった。自分が憧れている山を一目見てみたい。出来るだけ近くから見てみたい。エベレストに挑戦する人たちの姿も見てみたい。そう思ってのことだった。チベット側のエベレストBCは自転車で行けるからそちらに行きたいと考えていたが、前述の通りチベット自治区の自転車走行は断念したので、ネパール側のエベレストBCは外せない場所となった。中国から飛行機でネパールにやって来たのはエベレストのためと言って良い。そんな想いを抱えて、エベレスト街道に向かった。

釧路川~羅臼竹 275
2005年に登った羅臼岳。

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2006年に登った白馬岳。今回エベレストに共に行くナベちゃんも一緒だった。

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2008年に登った槍ヶ岳と穂高岳の間の大キレット。

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槍ヶ岳穂高岳縦走時の御来光。

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2008年に登った、朝日に照らされる涸沢の紅葉。

エベレストベースキャンプ日誌

[ネパール]エベレスト1:想い
[ネパール]エベレスト2:エベレストに挑戦する日本人女性に出会う
[ネパール]エベレスト3:べジータ vs カカロット
[ネパール]エベレスト4:今年4度目の新年を迎える
[ネパール]エベレスト5:BCでの再会とカラパタールからの絶景
[ネパール]エベレスト6:チョラパス(Cho la pass)越えは中級者向けの美しき道
[ネパール]エベレスト7:もう一方の見どころ、ゴーキョピーク
[ネパール]エベレスト8:俺達はまだ本気を出していないだけ







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    管理人のたかです。1984年4月20日生まれ。不動産会社での開発業、自転車世界一周、地域おこし協力隊を経て、愛知県新城市の古民家で宿泊事業をはじめました。SNSでフォローしていただくと最新記事を読むことができます。よろしくお願いします。