チャリダーとは自転車で移動する旅人の通称である。
チャリ(自転車)にダーを付けて人を示すことにしたのだろう。近い言葉にサイクリストがあるが、チャリダーの方が貧乏で、汚くて、冒険に近い旅をするイメージ(※独断と偏見)。
僕は2009年から2012年まで自転車世界一周旅行をし、チャリダー界隈の中の人となった。
自転車世界一周したことがあるので、「世界を自転車で走る人々」の忘年会にお呼ばれ。
集まった17人の総走行距離は67万キロ。ちなみに月までが38万キロ。あとちょいで往復できたのにー!
※徒歩で進むリヤカーマンや一輪車で台湾縦断の方もいた pic.twitter.com/amV72Iif5L
— taka@ボドゲ宿タカハウスオーナー (@viatortaka) 2018年12月21日
チャリダーコミュニティはとても狭い上に、世間に知られていない。
現役で海外を走っていると、誰がどこでペダルを回しているのかという情報が自然に入って来る。インターネットを使ってルートなどを調べれば、情報発信元が少ないが故に頻繁に同じウェブサイトにたどり着く。
あまりに母数が少なすぎて、中の人はどんどん繋がっていく。
チャリダーは、わざわざ移動手段に自転車を選ぶ変わり者の集まり。それだけで、どこか繋がっている感じが芽生えるのだ。
その変人たちが集まる「チャリダー大忘年会」が開催されたので、参加してきた。業界では名が知れた猛者が集まっていたが、一般人が見てもまったく分からないであろう。
チャリダーの世界
マツコの知らない世界で取り上げて欲しいニッチな分野の1つ、チャリダーの世界。
電車・バス・車といった交通手段が発達した世の中で、わざわざ自転車で旅をする変な人の集まり。好奇心が強く、自分でいろいろやりたい人が多い。
かといって何事にも積極的かというとそんなことはなく、意外とシャイだったり人見知りだったりする。
自転車旅は積極的な受け身のスタイル(自ら声をかけなくても、人が声をかけてくれる)なので、むしろイケイケ系が少ないのかもしれない。
また、時速15km~20km程度で旅を続けるため、地理や歴史に詳しい人が多い。僕は自転車旅行を続ける内に、地理歴史を好きになった。
バックパッカーの旅人と比較すると、おそらく数が1000分の1以下。それ故に、自転車旅行仲間と出会うと仲良くなる傾向がある。ニッチだからね。
そんなチャリダーの世界について書いていく。トピックは以下。
・総走行距離68万キロはどれくらいすごいのか?
・自転車旅行を終えた元旅人は何をして生きていくのか?
自転車世界一周の定義とは?基本ルートが4年の世界!
日本アドベンチャー・サイクリストクラブ(Japan Adventure Cyclist Club)(JACC)という組織がある。
JACCが定義する自転車世界一周を紹介しよう。
僕も上記の条件に該当しており、JACCで紹介されている。
2019年の情報だと自転車世界一周記録保持者は111人で、その内の1人。意外とレア!講演の仕事はいつでもスタンバイOKなので依頼かもん。
自転車世界一周の世界は恐ろしく、基本ルートが4年程度。もっともオーソドックスなアメリカ大陸とユーラシア大陸を考えてみよう。
南北アメリカ大陸は南下するのが南下するのが基本で、アラスカやカナダからアルゼンチンを目指すとする。季節のことやらを含め、1年半~2年。
ユーラシア大陸を中国からポルトガルまで横断すると、1年~1年半。
「世界一周」なので、そこにアフリカやオーストラリアを足すと、4年~8年くらいになる。北欧も走るか!なんて考えると簡単にプラス数ヶ月とかで、寄り道が数ヶ月の世界なのだ。
南北アメリカ大陸縦断、ヨーロッパ横断、+アフリカ or オーストラリアという基本ルートが4年ほどになるのが、自転車世界一周旅行の世界である。
旅をしていると時間間隔がマヒしてきて、1年くらいは簡単にプラスされることが多い。
僕は2年の予定で自転車世界一周に旅立ったが、2年半とやはり半年(25%増し)となった。
2009年にアメリカで出会った磯田よしゆきと出掘良一は、当時旅の予定を5年と3年半と言っていた。2019年になったが、彼らの旅はまだ続いている。。。
上の写真派、出掘良一とチャリダー忘年会でテレビ電話をする様子。
総走行距離68万キロはどれくらいすごいのか?
チャリダー忘年会に参加した17人の総走行距離は68万キロだった。
しかし、そのすごさは誰にも伝わらない。
地球一周が4万キロで、月までが38万キロ。もうすぐで月を往復できる距離ではあるが、果たしてそのすごさは???
海外を自転車で旅した場合、1年での走行距離は1万~2万キロ。仮に平均を1万5000キロだとすると、68万キロとは45年分に相当する。
つまり、17人で45年分走っていることになる。
今回のメンバーの中には一輪車台湾一周の方や、オーストラリアを徒歩で旅するリヤカーマンも混ざっていた。それも加味すると・・・
ちなみに今回は1人1人が自分の走行距離を全員の前で口に出して計算したのだが、みなが鼻高々に「俺は5万キロだ!!!」とか言ったわけではない。
というのは、この68万キロの内26万キロを2人で走っているのよね。
小口良平さんが2009年3月から2016年10月までで155ヵ国130,875km、周藤卓也さんが2005年12月から2016年7月までで150ヵ国131,000kmを走った。その2人がすごすぎて、みな「僕はそんなに走っていないので、2万キロです」みたいな感じであった。
自転車旅行を終えた元旅人は何をして生きていくのか?
チャリダー大忘年会で会った旅人たちは、多くが「元旅人」となっていた。
再び旅に出るという現役メンバーもいたけれど、大半が旅を終えて日本社会で暮らしている。
数年間の自転車旅行を終えたチャリダーたちは、何をして生活しているのか?
結論を言えば、人それぞれであった。
日本社会から数年、旅という形でキャリアを捨てる。僕は地方で宿を始めたけれど、会社員に戻る人、役所で働く人、飲食店を経営する人、自転車関係で生計を立てる人、専業主夫、ほんとバラバラ。
一様だったのは、みなが清々しい顔をしていたことだろう。
夢という「しがらみ」から解放された人間の集いだったように思う。
チャリダーの世界に来たい人がいたら、大歓迎だよ。
ちゃお!