旅慣れた旅人がだんだんと危険な場所に向かう理由を「恋愛学」から知る

変性意識状態という言葉を聞いたことがありますか?

変性意識状態とは日常的な意識状態以外の意識状態のことで、トランス状態といった方が多くの人に伝わるかもしれない。

「絶望の時代の希望の恋愛学」では、変性意識状態に入っていくことの面白さを説いている。本書は社会学者の宮台真司氏と、若手のカリスマナンパ師である高石宏輔氏と公家シンジ氏に、ナンパカメラマン鈴木陽司氏が加わったトークイベントがベースとなっており、ナンパから変性意識状態に切り込む。

「絶望の時代」の希望の恋愛学
「絶望の時代」の希望の恋愛学

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宮台 真司
KADOKAWA/中経出版
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上記の4者はセックスするためのナンパはくだらないと一蹴する。自分と相手を変性意識状態にもっていくことこそが、質の高いセックスとなると言う。

セックスには「祭りのセックス」「愛のセックス」「ただのセックス」の3種類があり、昨今は「ただのセックス」が蔓延している。

ナンパをルーティン化して無駄を省き、失敗を減らして行きつく先は「ただのセックス」であり、質の低い経験。必要なのは数ではなく質であり、質の高いものを求めていく先に何があるかを見出だすことこそが大切なのだ。

それを4者が自分自身の経験を踏まえて語り、言葉を変え、読者に伝えようとしているのが「絶望の時代の希望の恋愛学」である。ナンパをしたことがない人にとって面白い話。

変性意識状態(トランス状態)と旅行

ナンパから変性意識状態に言及する本書を読んで、ナンパを旅に置き換えたときにも近いものがあると気づいた。

僕は2年半ほどかけて自転車で世界一周をしていたのだけれど、旅にも「質」がある。先の文章のナンパを旅に置き換えると、

旅をルーティン化して無駄を省き、失敗を減らして行きつく先は「ただの旅」であり、質の低い経験。必要なのは時間ではなく質であり、質の高いものを求めていく先に何があるかを見出だすことこそが大切なのだ。

旅に出ているときは、一種の変性意識状態(トランス状態)になっている。自分の好奇心と、ときに現れる恐怖心と向き合いながら新しいものを求めていく特別な状態。

怖くなってもその場から逃げずに、恐怖に真正面から向かい合うために思い付く限りのことをしていると、変性意識状態は続き、さらに深いものになっていく。そういった状態が継続しいてるときの旅は、なんだかよく分からない面白さがあり、あっという間に時間が過ぎた感覚が残る。

しかし旅慣れてくると行動がルーティン化して失敗が減っていく。未知なるわくわく感がなくなり、素晴らしい景色を見て、おいしいものを食べているだけでは「ただの旅」となる。そんなものを求めても、面白くない。

僕はそれを避けて変性意識状態に入りやすくするために、自転車をいう移動手段を選んだのだと知った。車で1時間で進める距離を、自転車で1日かけて移動する。先行きのわからない状態に身を投じ、勇気を振り絞る。そういった旅を続けてきた。

それでも2年経つ頃にはルーティン化していき、わくわく感が減ってきた。非日常が日常に変わっていく。そして「ただの旅」に近づいていく予感がした。それを打破するために、ライオンが出る道を走る、といった実際に危険な方面に足を踏みいれたとき、旅を終える時期が来たと悟ったのだ。

多くの旅人には人がまだ訪れていない未開の地を求める、危険で行きづらい場所に行く、という願望がある。それは変性意識状態に入りやすくするためである。旅の始めはそんな場所に行かなくてもすべてが新鮮だが、だんだんと刺激に慣れてしまう。

そうやって自分が行けると判断したぎりぎりの危険を求めていってしまう人もいるが、僕はそうなりたいとは思わなかった。よって旅を終えたのだと、「「絶望の時代」の希望の恋愛学」を読んで再確認したのである。

危ない世界一周旅行
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ABOUTこの記事をかいた人

管理人のたかです。1984年4月20日生まれ。不動産会社での開発業、自転車世界一周、地域おこし協力隊を経て、愛知県新城市の古民家で宿泊事業をはじめました。SNSでフォローしていただくと最新記事を読むことができます。よろしくお願いします。