アフリカは怖いというイメージがある。その理由の1つが「病気」なのは間違いない。日本にはない凶悪そうな病気が流行っていそう、病院施設がしょぼそう、という先入観はあながち間違っていない。勿論それは場所によるのだけれど、訪れるのが都市とは限らない自転車旅では充実した医療が受けられないことを想定しておくべき。病気の知識を持っておくに越したことはない。スペインにいるときから時間があるときに感染症を改めて洗い出し、気をつけることや準備することを整理し始めた。
○病気について
確定していた行き先はモロッコ、西サハラ、モーリタニア、セネガル、そしてタンザニア。基本的なところをおさえるには以下のサイトが参考になった。
・外務省による世界の医療事情→モーリタニアはこちら、セネガルはこちら
・厚生労働省検疫所FORTH→アフリカ西部はこちら
○予防接種について
推奨されている予防接種である黄熱、破傷風、A型肝炎、B型肝炎、狂犬病はすでに打っていた。
※正確には狂犬病は予防接種ではなくてワクチン接種。タイで猿に噛まれるというイベントがあったためだ。そのときの記事は以下。
1 [タイ]映画「ザ・ビーチ」のロケ地
2 [タイ]猿に噛まれた
3 [タイ]狂犬病予備軍の友人からメール
4 [タイ]狂犬病予備軍の友人からメール(続)
5 [タイ]後は願うだけ
そんな中でモロッコのカサブランカで追加接種したのは髄膜炎と腸チフス。
髄膜炎は上にリンクを張った厚生労働省検疫所FORTHに
「12月~3月までサハラ砂漠の砂を含んだ風が吹き、乾燥、ほこりによる呼吸器感染症や結膜炎、流行性髄膜炎が流行します。長期滞在の場合は、注意しましょう。」
ということだったので一応打っておいた。髄膜炎は10歳くらいのときにかかり、入院しての点滴生活で尻に注射を打ったことがある。あれは辛かった、、、
腸チフスは症状がマラリアと似ていて、治療するときにややこしいという話を聞いたから打っておいた。
○マラリアについて
一通り病気をおさらいして思ったのは、特に気をつけねばならないのはマラリアだということ。上にリンクを張った外務省による世界の医療事情のセネガルから一部引用すると、
「マラリアは当地での罹患率、死亡原因ともに一位の疾患です。セネガルでは4種類あるマラリアのうち一番悪性度の高い熱帯熱マラリアが98%を占めています。熱帯熱マラリアは放置すると死に至ります。」
マラリアについての基本的ところをおさえるには以下のサイトが参考になった。
・外務省による世界の医療事情 各論2 マラリア→リンクはこちら
・Centers for Disease Control and Prevention→リンクはこちら
マラリアは早期治療が大事。24時間以内に病院に行くことが推奨されている中で、自転車で旅をしている僕はそれが出来ないときがあるかもしれない。その場合においては抗マラリア薬を使用してスタンバイ治療をしなくてはならない。スタンバイ治療の薬、予防の薬について以下のサイトが参考になった。
・2人の世界旅の抗マラリア薬→リンクはこちら
・世界一周旅行記のアフリカにおけるマラリア対策(マラリア予防薬、治療薬)についてのまとめ→リンクはこちら
マラリアには耐性問題があり、場所によって有効な薬が異なってくる。例えば僕が向かうモーリタニア、セネガル、タンザニアではクロロキン(Chloroquine)という薬はあまり有効ではない。その情報は以下のサイトが参考になった。
・CDCのMalaria Information and Prophylaxis, by Country→リンクはこちら
※英語のサイトだけれど、上に並ぶアルファベットから調べたい国を探してDrug Resistanceのところを見ればOK
ネットで調べた情報を抑えつつ、医者の先輩や友人とメールのやり取りをしながら細かな疑問を確認していくことで一応の結論が出た。僕が向かうモーリタニア、セネガル、タンザニアはクロロキン耐性地域。有効な予防薬(スタンバイ治療薬)は、アトバコン・プログアニル合剤[マラロン]、ドキシサイクリン[ビブラマイシン]、メフロキン[メファキン、エスエス、ヒサミツ、ラリアム]の3つ。内2つを持ち、1つを予防薬、1つをスタンバイ治療薬にするのが良さそう。
僕の場合、モロッコの道中で出会ったタロウにドキシサイクリンをもらうことが出来たので、残る2つの内のどちらかを探しつつモーリタニアを南下しているのが現状。失敗したのはモロッコのカサブランカで売っていたmalanilという薬を買わなかったこと。これはアトバコン・プログアニル合剤[マラロン]の別の呼び名なのだが、そのときは分からなかったので買うことを保留した。それが分かった後にモロッコ南部で薬局を回り続けたが見つけられず。ちなみにmalanilは500DH(5000円弱)とそれなりの値段だったため、良く分からない薬にその額は出せないと保留したんだよね。
最後に先輩に調べてもらった情報で参考になりそうな箇所を一部修正して紹介しておく(2011年12月)
◆治療に関して
つい最近までメフロキンが第一選択薬だったけど、今はWHOでもイギリスでもアトバコン・プログアニル合剤(malanil/malarone)が第一選択薬のよう。理由は、メフロキン耐性が出てきている事(東南アジア中心だからおいといて)、メフロキンの消化器系・精神系副作用が強いため、嘔吐などでしっかり薬が吸収されない可能性があるため。
推奨している治療方法は、(重症化していない熱帯熱マラリア)
・アトバコン・プログアニル合剤(malanil/malarone) ☆新しい
・アーテメーター・ルメファントリン合剤(リアメット Riamet) ☆新しい
・キニーネとドキシサイクリンの併用
また、違う文献では(これは洋書だから日本人に適用かは微妙だけど)治療の際、ドキシサイクリンとメフロキンの併用は有りだと書いてあった。
◆予防に関して
虫除けの成分でDEED(N,N-diethyl-m-toluamide)というのが濃度30~35%の物が推奨されるらしい。日本国内の物だと10%台らしいから、そっちで濃度の高い物を探すのは有用かもしれない。また、汗をかけば当然薄まるため2~3時間おきに塗るべきと書いてある。
◆メフロキンに関して
この文献では、予防服用の30%以上にめまいや吐き気、20%足らずに悪夢や頭痛を経験したと書いており、特に初回服用時に現れやすいと書いてある。これを参考に、服用した際耐えられると思えば続けて、駄目だという時の指標にしてほしい。
2012年3月追記
コアテルムというスタンバイ治療薬が割と安価で、耐性を持つ蚊がいないということでよさそうである。
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