カッコウとウグイスの鳴き声を毎夜聞こえてくる。この2種って世界中にいるの、とか、今までにも同時に鳴いていたかな、なんて思う。聞き分けられる鳴き声がこの2つだけで、他の鳥も、虫も、蛙も鳴いている。草むらに潜り込んでキャンプをすると数多くの声が耳に入って来るのだ。聞き覚えがある声があっても、以前に聞いたのは日本だったか、アメリカだったか、それとも他の国だったか、思い出せない。今まで一体何を聞いて生きてきたのだろう。きっと、聞きたいものしか聞こえていなかったに違いない。ありのままを聞くって、よっぽど心に余裕がないと出来ないことだと思った。
日々キャンプ出来ることを含めて、自転車で走ることがかなり快適。思うに自転車走行の快適さとは主に次のような要素があると思う。
・道(舗装状況、交通量、交通マナー、クラクションの数、アップダウン、風)
・景色(自然、空気のきれいさ、道端のゴミの量)
・補給(水や食料の入手のしやすさ)
これらが高い水準で満たされていることを感じる。南米のアルゼンチン・チリはキャンプがやりやすく景色も良かったけれど、強風には参ったし、補給も難しくて大量の水と食料を運ばなければなかなかった。東南アジアは交通量の多さ、交通マナーの悪さ、クラクションの多さが走行の気持ちよさを著しく悪化させており、キャンプ地を見つけることは難しかった。快適なことが楽しさと比例するわけではないけれど、今のところのヨーロッパは走ることが「楽」である。
また、3日に2日は道路脇に水道を見かけるので、頭や体や食器を洗ったり、洗濯が出来る。これが宿に泊まらなくても良い重要な理由で、実は結構きれい好きな僕でも、連続キャンプしていて平気なのだ。南米も毎日キャンプが出来る土地だったけれど、4日振りとかに街に着けば宿に泊まってシャワーを浴びたくなるのが常だった。ちなみに日本は温泉や銭湯の文化があるので、その点は感動するくらい優れている。
トルコとブルガリアは90日滞在可能で、アジアのときのようにビザ切れの問題もないし、今は人と待ち合わせの約束もない。数日走らなくたって困ることはないので、日々走る距離にストレスを感じない。旅を制限するものがほとんどなくなった。
トルコに来る前、ネパールにてスピードメーターを失くした。一緒にしておいたサイクルグローブも消えたので盗られた可能性もあるのだけど、わからない。せっかくの機会なのでスピードメーターなしで走ってみることにした。スピードメーターがないと走った正確な距離が分からず、次の補給地点までの時間が正確に計算出来ないし、地図の分岐を間違う可能性が高くなるのだけれど、ヨーロッパくらいに発達している場所だったらたいした問題はないだろう。ちょっと試しに、と思ったのだ。
すると驚いたことに全く問題はなく、むしろ頭を駆け巡る大きなものの1つだった時速や走行時間から解放された。走行中はついついスピードメーターを目にしてしまう。時速を見て遅いなあと感じたり、このペースだと今日は60kmも走れない、とか計算してしまうのだけど、それがなくなった。漕いでいるときに無心になることは思いのほか難しく、スピードメーターを見ることからそのようなくだらないことを考えてしまうのだ。正確な情報は得られなくなったけれど、それ以上に、有益でないことを思う要素が1つ減ったことが大きい気がした。
何も考えずに走り、疲れたら木陰で休む。本を読みたくなったら読み、眠たかったらブルーシートの上で横になって寝る。パソコンをいじりたくなったらカフェに入り、ビールが飲みたくなったら手頃な値で手に入る。いつでも道沿いでキャンプ地が見つけられるので、昼過ぎくらいに食糧と水を補給しておけば万全の態勢が整う。チベット走行で思い込みの怖ろしさついて気付いたけれど、1つ1つのしがらみがなくなり、この旅はじまって以来の「自由」を感じる。より本能的な旅になってきた。
以前に「旅を続けて変わったか」ということについて書いた。「変わった」と今なら言えるような気がする。
体や服を清め、寝袋やテントを乾かす。
車を洗う人も多い。ここが1つの出会いの場だった。
標識に従っていくと高速に紛れ込むことがある。
キャンプをしているときに木々の隙間からのぞいた沈む夕日。
牛の大群の散歩道。
雲が多いと涼しい。
ガソリンスタンドが洒落ている。
農場横で買ったブラックベリージャムが美味。
ここでキャンプ。
咲き誇る花が心に潤いをくれた。
道端でちょくちょく休憩を入れる。
ガソリンバーナーの調子が悪く、途中で火がつかなくなって難儀した。
雲の様子が好き。
火が使えないので仕方なくヨーグルト。
まっすぐ伸びる道を無心に漕ぐ。
お久しぶりです。
気持ちよさそうで、羨ましさいっぱいで見ています。 その写真の気持ちよさを分けて頂きたい・・・切に思います。
エジプトは、めっちゃめちゃ暑くて脳みそが溶けています。
ではでは。