どーも。自転車世界一周経験者のタカ(@viatortaka)です。
2007年頃だったと思う。
「into the wild」という映画を観た。そして原作の小説「荒野へ」を読んだ。
アメリカの優秀な青年がお金や近代社会に嫌気がさし、放浪の末にアラスカで死体で発見された話。
上記の放浪とは旅であり、冒険であり、僕がやりたいと思っていたことに他ならなかった。当時大学生だった僕はアウトドアにはまっていた。20歳のときに自転車日本一周をし、またカヌー旅や登山にも熱を入れていた。
どこまで行けるのか?どこまで自分はやれるのか?という挑戦の心がある限り、自分のレベルが上がれば挑戦するレベルも上がる。
それをアウトドアの世界でやると、1つのゴールとしての7大陸最高峰制覇といったものや、さらにその先の命を賭すレベルのものへと向かっていく。
「into the wild」または「荒野へ」の主人公のように、お金を使わないという縛りを入れた旅の魅力も十二分に感じていた。いずれにせよ、自分の限界はいずこなのかという問いに、アウトドアという己の力量がモロに出る世界はわかりやすかった。
into the wildを観て考えたこと
into the wildはノンフィクション作品。
簡単なあらすじをもう一度書くと、1992年に青年が放浪の末にアラスカで死体で発見された事件を描いた実話である。
この作品を観て、主人公クリスと自分を照らし合わせ、そして思う。
「僕はどこまでやりたいのだろう???」
己の限界を試すことをアウトドアの世界で突き詰めていく。それは死と隣り合わせでいることに他ならない。やり続けていく先には死が待っているとも言える。
死にたいわけではない。誰かに迷惑をかけたいわけではない。誰かを悲しませたいわけではない。
だが、しかし、、、
into the wildをきっかけに行きつく先を想い、命を賭した冒険へは進まないことを決意した。旅という概念があり、そこに危険度を足したものを冒険と位置づけるならば、冒険に近づいていくことはやめよう。旅の範囲で留めよう。
そう決めた。
そして2009年に自転車世界一周に旅立った。これは冒険ではなく、冒険チックな旅だった。
元冒険家 返町亮の話
冒険家として活動していた返町亮くんがいる。
当記事は彼のブログに触発されて書いた。
・りょう、冒険やめて良かったな
りょう、冒険やめて良かったな。
僕は栗城さんの訃報を知った時、寂しさや悲しさと同時に、冒険をやめて良かったと、安堵の感情を持った。
もしあのまま冒険を続けていれば、僕も、どこかで死んでいたかもしれない。
あのまま冒険を続けていたら、誰かを悲しませていたかもしれない。
あのまま冒険を続けていたら。
僕は。
だから。
つまり。
冒険を、やめて良かった。
そう考えた時に、虚無感がやってきた。
なんだ、これ。
誰かが亡くなって初めて、冒険をやめて良かったと思っている。
ホッとしている。
今まで、悶々と冒険をやめた事を考えて、悩んでいたのに。
他者が死んで、簡単に、やめた事を肯定している。
なんだ、これ。
誰かが死なないと、自分が歩いている道を肯定出来ないのか。
やっぱり冒険をやめて良かったと、誰かが死ぬ度に、そう思うのか。
俺は、何を考えているんだ。
思考は止まらない。
もう考えたくないのに、次から次へと、自分を肯定する言葉が湧いて出る。
なんだ、この感覚は。
栗城さんが亡くなって、悲しい。
けど、そんな単純な話じゃない。
僕は、栗城さんが亡くなって、悲しくて、自分の今の状況に安堵している。
なんだ、これは。
この先の人生も、こんな事を思いながら生きていくのか。
冒険をやめた奴は、こんな事を思って、これからも生きていくのか。
植村直己さん、僕はわからない。
冒険って、何だ。
彼の心の叫びに、僕はかつての自分を思い出す。
とことんやりたかった。ただ、ひたむきに。
その先に何が待ち受けようとも、挑戦しつづけたかった。
ふと思うんだよね。
とことんエネルギーを注ぎたいことがあった。それは簡単には見つからない。もう手に入らないかもしれない。
ならばエネルギーを注ぎ切るべきだったんじゃないだろうか?
今、スリランカにいます
久しぶりに海外を旅している。
2009年に出発した自転車世界一周は2012年に終えた。
スリランカで出会ったアルゼンチン人に言った。
「8年前にアルゼンチンに行ったよ。」
自転車旅から8年の月日が流れた。
into the wildを観てから10年が経った。
僕は生きている。それは旅と冒険の境を見据えたからこそかもしれない。
元冒険家のりょうくんは書いた。
僕は生きている。
僕は、今、生きている。
そう強く感じる。
りょう、冒険やめて良かったな。
やめて、良かったよ。
生きているから、良かったんだ。
そう、思うしかない。
そう、思う事が、大切なんだ。
でも、なんでこんなにも悲しいんだ。
僕も生きている。
なんでこんなにも悲しいんだ。
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