暗号解読~ネット社会は暗号で成り立っている

フェルマーの最終定理が面白かったので、著者サイモンシン訳青木薫のペアの著書をもう一冊手に取る。暗号解読。これも滅法面白かった。

数学の面白い本:著者サイモンシン訳青木薫「フェルマーの最終定理

暗号と聞いたとき自分と関わりがあると思うだろうか。私スパイ活動とかしていないし暗号とか知らぬわい、という感じだろうか。

あなたがこうやってネットを使ってこのブログを見ている時点で、あなたはきっと暗号を必要としている住人である。暗号とネットは切り離せないからだ。

インターネットと暗号

ネットは世界を繋いだ。地球のどこから発信されたメールでも、あなたは受信することができる。しかし比較的安心して情報を交換できるのは、暗号のおかげなのだ。

暗号がなければあなたは安心してメール交換ができないだろう。それが犯罪に関わることでなくても、プライバシーの観点から書けないことは増える。

メールだけでなく、クレジット決済などにも暗号が使われている。ネット社会のインフラは暗号が支えているのだ。

暗号の歴史

暗号解読では暗号を歴史に沿って追ってゆく。暗号が長らく使われる場面であった軍事、暗号作成や解読を担うことになった数学など、暗号の歴史を書くにあたってアプローチの方法はたくさんある。著者サイモンシンは人間の営みに焦点を合わせた。

暗号は人間の欲望や生き抜くために生まれた。暗号解読も同じく人間の欲望や生き抜くために行われた。そういった血なまぐさい謀略や裏切りに連続が暗号の歴史である。それが愛すべき人間の営みとして描かれているのが本書である。

換字式暗号

ローマ帝国の時代から使われていた暗号。メッセージの入れ換える暗号だ。簡単な例を紹介する。

暗号の送り手と受け手で、二文字ずらすことを取り決めていたとする(※以後これを「鍵」と呼ぶ)

たとえば送り手が

「すぐにもどられよ」

と送りたかった場合には以下のメッセージを送る

「そごねゆびるわり」

受けてはそれを二文字もどせば良い。

この暗号は1000年くらい使われた。もちろん上記よりも「鍵」は複雑である。

これを一体どうやって解読するのか。あなたは思い浮かぶだろうか??

換字式暗号解読

この暗号の解読するためには、文字の出現頻度を調べるのだ。暗号解読で書かれているのは日本語ではなくアルファベットなのだが、言語によって文字(アルファベット)が出てくる頻度が違う。例えば英語だったらa,e,tなどの出現頻度が高い。

暗号化されたメッセージにある文字の数を全て数え上げ、どの文字がどの文字に入れ換わっているのかを探っていく。そうやって解読するのだ。

換字式暗号が解読されるとなれば、もっと強い暗号が必要になる。そしてそれを解読する。暗号の歴史はいたちごっこである。

無線通信と暗号機エニグマ

19世紀末に無線通信が行われるようになった。これによって暗号の需要がさらに高まった。無銭で仲間と通信できるのは戦時において画期的だったが、同時にそれは傍受される。つまりは味方に分かるが敵には分からないメッセージが必須なのだ。

第一次世界大戦では暗号解読者が立て続けに勝利を収めている。基本的に通信は解読されるなかで戦争が行われていた。

第一次世界大戦後に暗号機エニグマが開発される。第二次世界大戦に突入する頃には機械によって複雑化された暗号が使われていた。

・・・

しかし、暗号機さえもが解読されるのである。

ナヴァホ語での暗号

アメリカが第二次世界大戦中に使った暗号の1つがナヴァホ語である。ナヴァホ族を無銭オペレーターとして採用して、言語を暗号にしたのだ。これを日本は解読できなかった。

日本側の通信は暗号解読されており、真珠湾奇襲攻撃などが事前に漏れていたことは耳にしたことがあるだろう。

戦争は情報が命であり、20世紀の第一次世界大戦も第二次世界大戦も、暗号作成者VS暗号解読者の戦いだった。

暗号の鍵の問題

暗号は送り手と受け手で暗号の仕方(鍵)を共有していなければならない。鍵がばれたときが暗号を解読されたときなのだ。

鍵を複雑にして解読されないようにする、という問題の他に、鍵をどのように受け渡すかという問題を抱えていた。それを傍受されたらおしまいだし、手渡しはコストが大きい。とはいえ長らくは物理的に運んでいた。

インターネットの出現で暗号が必要にあったとき、鍵の問題を解決しなければならなかった。世界にはこれに挑戦する人がおり、解決されたからこそ今僕らが安心してメールのやり取りやクレジット決済ができる。

解決するくだりには心底感動した。

暗号解読 著者サイモンシン 訳青木薫

当記事では僕が印象に残ったところをピックアップしてみた。数字に強いとより面白いが、数字が苦手な人にも分かりやすく書いてある。フェルマーの最終定理も相当おもしろかったが、こちらも間違いなく一押し。

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