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マイケル・ルイス「世紀の空売り」の感想・書評

投稿日:2013年4月21日 更新日:

世紀の空売りの副題は「世界経済の破綻に賭けた男たち」であり、サブプライム住宅ローンの話である。それは世界恐慌の呼び水となり、リーマンショックを引き起こした。そのときに世界がおかしいと気づき、破綻に賭けた3人の男の物語である。

サブプライムローンとは何なのか。この本を読めばわかるというわけではない。むしろ、サブプライムローンが分かっていた人は世界にほとんどいなかった、という事実が分かる。誰もが分からなかったからこそ、通常あり得ないことが起きた。通常あり得ないことを引き起こしたのは、その状態はあり得ないから大丈夫でしょ、という心理だった。

通常であればローンを組めないような所得者がローンを組めるような仕組みをつくった。お金をきっちり返済する見込みが低い人がいても、そういった人々のローンを切り分けてまとめてしまえば、全員が返済しないという状況は考えにくい。その手法により、債権には高い格付けがなされた。買う人がいれば、そのお金があらたなローンに回る。それは資本市場に持ち込まれた新たな効率性だとウォール街の人は信じていた。

全員が返済できないなんてあり得ない。あり得ないから大丈夫でしょ。金融のプロでさえ実態が分かっていなかった。もちろん分かりにくく作ってあり、それは複雑で巧妙にすることにより、騙すことができるからだ。結局は自分たちもそれに巻き込まれた。しかし、結局はアメリカ政府によって資金注入があった企業も多く、救済されている。

この物語に出てくる重要人物のほぼ全員が、儲けているということが恐ろしい。ウィン・チャウは顧客の資産を運用していた。それは失敗に終わり破産となったが、手元に数千万ドルのお金が残った。ハーウィー・ハブラーは単独のトレーダーとして数十億ドルの損失をだしたが、数千万ドルのお金を手に入れた。ウォール街の大手投資銀行のCEOたちも経営する企業を破産に追い込むか、アメリカ政府の介入によって破産を免れた。にもかかわらず、高給なのである。

最終的には賢く選択をしても、賢くない選択をしても儲かる。だから賢い人はそこへ行くのだろう。リスクとリターンを考えたら、おいしすぎるよね。

世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち (文春文庫)
マイケル ルイス
文藝春秋 (2013-03-08)
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マイケル・ルイスのその他の本

統計データを駆使し、常識を覆す手法で野球界で勝ち星を積み重ねたアスレチックスの話。これも昔読んで痺れた。

マネー・ボール〔完全版〕 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
マイケル・ルイス
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