ダチョウ力の感想:ダチョウに人生を捧げる塚本康浩さん

人生を捧ぐものがある。それこそが幸せではなかろうか。

ダチョウに力と書いてダチョウ力。ダチョウ博士の塚本康浩さんが書いた本である。この本が滅法おもしろかった。

ダチョウ力 愛する鳥を「救世主」に変えた博士の愉快な研究生活
塚本 康浩
朝日新聞出版
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はじめに、からわくわくさせられたので引用。

もしかしてダチョウは世界を制覇していたのではないだろうか。真剣にそう考えることがある。身長は2.5メートルを超える。巨体から振り下ろすキック力、時速60キロを超える俊足、年間に百個も卵を産む生殖能力、60年も生きる生命力――。46億年の地球の歴史のなかで、ダチョウが天下をとっていれば、進化の過程で人類が勃興していたかどうかは疑わしい。

しかし、ダチョウが世界制覇を実現するためにひとつ欠けているものがあった。頭脳である。

ダチョウは巨体に関わらず、脳はネコなみに小さい。ネズミのように脳のしわがない。ようするにアホなのだ。塚本さんの研究生活の中で、ダチョウのそのアホさ故の愛くるしくほほえましいエピソードが、オンパレードで繰り出されるのが本書である。

研究によってダチョウのタマゴから「ダチョウ抗体」をつくり取り出すことに成功した。アホなダチョウに魅せられて人生をささげた男の熱心な研究によって、ダチョウが人類に対して大きな役割を担うこととなった。愉快すぎる。

実際のところ、ダチョウをアホだアホだと馬鹿にしている塚本博士も、それに巻き込まれた大学院生の足立さんも、本書を読んでいる限りはアホである(もちろんいい意味で)。まじめなアホは素晴らしいのだ。

人生をダチョウにささげられる、っていいよね。結局のところ、打ち込める何かを見つけられた人は生きることが楽しくなる。それはなんだっていい。そしてそんな人は面白いに決まっている。

ダチョウに人生を捧げた人が書いた本が面白くないわけない。ダチョウに力と書いて、ダチョウ力である。

動物のお医者さん

この本が好きな人は動物のお医者さんが好きだと思う。逆にいえば、動物のお医者さんが好きな人はダチョウ力が好きなはず。

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