久しぶりに先が気になって気になって仕方のない漫画だった。ドラマ化されていることすら知らずに読み始め、一心不乱に読み耽る。鈴木ワールドにどっぷりとつかり、抜け出せなくなっていた。
表紙を見てもらえれば分かるが、絵はいまいちだ。だが、読み進めるうちにそれがよくなってくる。特徴的な絵だからこそ、特徴的なキャラクターがたつのだ。
鈴木先生が「カミサマ」と呼ぶ小川蘇美という生徒がいる。クールビューティーという設定なのだが、この子の絵がかわいくない(爆)。かわいくないけど漫画の中では美少女という話なので、否が応でも自分の頭の中でかわいくするのだ。
多くのキャラクターでそのように置き換えているうちに、鈴木先生の世界観に呑まれてゆく。
GTOの鬼塚のような非・常識的な先生ではなく、現実にもいそうな普通の先生が、どこにでも起こり得る問題について過剰に悩みつつ、独自の教育理論によって解決していく漫画は、あるようでなかった。
独自の教育理論が毎回生徒に通じるところは漫画だからこそなのだけど、違和感がありすぎるほどまではいっておらず、ぎりぎりのバランスでその鈴木ワールドは保たれている。逆にそのぎりぎり成り立っているが故の、全体としてのぶっとび感が面白く、魅力になっているのだ。
鈴木先生がドラマ化されたことを知り、ドラマも見てみたいと思っていた。その矢先に年末年始に再放送が流れたから、すべて録画した。心理の葛藤が描かれた文章だらけの漫画を、一体どう表現するのか。
正直なところ、結構難しいんじゃないかと考えていた。しかしそれは杞憂で、飽きさせないような表現で映像化されていてびっくり。漫画を読み進めたときの疲れを考えると、ドラマの方が入り込みやすく面白いかもというレベルだった。
素晴らしい!
湊かなえが著者である「告白」の小説と映画を見たときにも感じたけれど、監督が物語の本質をつかみ、役者がそれを演じきるならば、映像は原作に引けを取らないくらいに面白くなる。鈴木先生は間違いなく本質を掴んでドラマ化されているので、視聴率が平均2%程度と振るわなかったのは不思議でならない。
作品の評価の裏付けとしては、日本民間放送連盟賞テレビドラマ番組部門最優秀賞受賞(2011年)や、第49回ギャラクシー賞テレビ部門優秀賞受賞(2012年)を受賞することで証明された。その評価に熱心なファンの要望が重なり、映画化される。
映画のCMを見る限り、漫画の最終エピソードの部分が映画化されるのだろう。相当に面白いはずだ。
鈴木先生ラブな僕は、現在講師として働いており、鈴木先生と呼ばれている。
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