自転車を盗られた後、旅をどうするか考えていた。やめる、という選択肢はなかったけれど、自転車でなくても良いような気がした。一番走りたかったヨーロッパは楽しんだし、次点に走りたかったパタゴニアも経験した。次なるアフリカ大陸は自転車で走るというと危険そうだし、盗難に合ったのも1つの運命なのかもしれない。当初はそんな風に思った。
では、何で移動する?
バス、電車、車、徒歩、リヤカー、ラクダ、、、
いろいろイメージしたもののどうにもしっくり来ない。全然わくわくしない。わくわくしないなら旅をやめた方がいいとさえ感じた。ただ、この盗難で旅を終えるのもしっくり来なかった。自分の心がよく分からないままに時間が過ぎゆく中で、自転車での旅をこれで終えることは出来ない、という想いがふつふつと湧きあがってきた。それこそが僕の中の真実であり、目をそらしてはならないもの。心は決まった。
では、どうやって自転車を調達する?
新品を買う、中古を買う、貰う、スポンサーを探す、働いて買う、、、
ただ新品を買うというのは、盗難に何かしらの意味がある感じた直観が拒否していた。そこで気付いたのは、スポンサー探しを試してみたいという気持ち。企業にどうアピールするか、とか、どの企業が応援してくれるかな、などと頭を悩ませていた。しかし、何か違和感があった。何かが本質からずれている。もやもやする日々が続いた。
街を散歩しているときにすっと心に落ちて来た大事なこと。それは、どんな自転車でこれから走りたいのか。それこそが本質であり、調達手段はそれを叶えるためにあることに気付くまでに随分と時間がかかった。どんな自転車に乗りたいって?それはすぐに結論が出た。盗まれたのと同じサーリーの自転車に乗りたい!
行動の指針が決まれば決断はスムーズ。結局連絡を取った企業はサーリーのみで、彼らにスポンサーになってもらえないかを頼んだ。結果はNOだったが、こちらの事情を汲んでくれたサーリーの社長は、以前僕が乗っていたサーリーのロングホールトラッカーを幾らか安く提供してくれることとなった。感謝。
自転車は9月13日に届く予定である。今は幸せいっぱいで自転車を待っている。
コメントを残す