[アンナプルナサーキットトレッキング]2.マチャプチャレベースキャンプへ

自然の中で過ごす喜び、歩き疲れる気持ちよさ、山での食の楽しみ、そういったものを味わってもらえたらいいと思った。自分たちのペースで無理をせず、コースタイムに縛られないで豊かな時間を得る。素敵なところがあれば滞在すればいいし、頑張りたいときは数多く足を動かせば良い。僕が思うところの山での楽しみ方を伝えたらヨウヘイとナミさんとは別れ、己のトレッキングをしようと考えていた。当初の話でも、はじめの数日を一緒に行きましょう、ということだったので、マア2、3日が頃合いだと思っていた。ただ、2人と数日のときを過ごしてみて、彼らの特性が僕の考えを変えた。

話は昔に遡る。僕が大学時代に所属していたアウトドアサークルは、自由参加がモットーだった。活動に強制されるものはほとんどなく、例えば誰かが槍ヶ岳に行く計画を立てたら、その内容をメーリングリストで告知し参加者を募る。そこに希望者が参加表明をしてパーティーを組む。計画を立てた人を企画者と呼び、その人が参加者を引率する形態である。僕は企画することが好きだったので、プロフィールに書いたアウトドア経歴のうちの半数くらいが企画者としてであった。アウトドアに連れていった参加者の数は延べで3桁を超える。それなりに多くの人と共に旅をしたと思うけれど、ヨウヘイとナミさんほど驚きと喜びを口に出す人はいなかった。

「うわ~山がめっちゃ近いやん!」
「来て正解やったな。」
「気持ちええなあ。はまる人の気持ちが分かるわ~。」
等々。

僕が経験を積み重ねてきたことで特に何も思わなくなってしまった、彼らが味わっている始めての体験に対する新鮮な感動を、一緒にいることで分けてもらえた。忘れてしまっていた心を呼び戻しているようで、2人と来られて良かったとしみじみと感じた。それと、僕が連れてきているわけでもないのだけど、隣でこういう発言を聞いていると単純に嬉しくなるもの。もっともっと山で楽しんでもらいたい、今後も山に遊びに来るようになって欲しいと思うのは、山好きとしては至極当然のことだった。そこで引っかかったのは彼らのもう1つの特性である、かなりの慎重さ、だった。

日程を気にせず、ゆっくりと自分のペースで体調と相談しつつ行けば、僕がいなくても2人はほぼ確実にベースキャンプには行けると思っていた。けれど2人はそうは思っていないようで、アンナプレナベースキャンプまで行けるかなという不安を何度も口に出していた。ここで終えても満足と言える、みたいなことを仄めかしたりしており、それは気がかりだった。ベースキャンプの景色が格別なのは明らかなので是非見て欲しかったし、これを成功体験にして自信にして欲しかった。ここで別れると、ベースキャンプまで行くのは控えておいた、と後に言われてもおかしくないように感じたので、ベースキャンプまで連れて行こう、まず間違いなく行けるのだから。そう思った。

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アンナプレナトレッキングはエベレストのそれと比べて緑の多さに特徴がある。

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気高き山々の間を縫っていく道。

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2時間も歩けば宿とレストランがある。

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山で飲むお茶は美味い。

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午前中の晴れている。

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危うさを感じずにはいられなかった橋。

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山なので勾配が急なところもあって当然。

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夕方に天気が崩れることが多かった。

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ときどきある雪道。慎重に進む。

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きれいな花が多かった。

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歩き始めて4日目にマチャプチャレベースキャンプに到着。アンナプレナベースキャンプは目前である。

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