旅ではひょんなところから思わぬ方向に話が転がることがある。エベレストの麓からカトマンズに戻った途端に食中毒で寝込み、1ヵ月弱の時間を共に過ごしたなべちゃんと別れがあり、なーんか力が抜けて寛いでいたポカラでのノホホンライフからようやく重い腰を上げて、明朝アンナプルナベースキャンプに単身で向かおうとしていた。
このトレッキングでネパールを仕舞いにしてヨーロッパに足を伸ばそうかなと考えつつ、湖を左手にして歩いているときに、なにやら見覚えのある背格好の男が視界に入った。メガネを外していた視力0.1以下の僕の眼では、近距離になるまで輪郭がぼやけて誰か分からなかった。もうすれ違おうかというときに、その男がカトマンズの旅行代理店で出会った日本人であることに気付き、思わず声をかけた。
男の名はヨウヘイという。夫婦で世界一周航空券を使って旅をしており、嫁君の名はナミさん。そのまま2人とご飯を食べに行き話を聞いていると、トレッキングに行きたいけど不安だしインドに抜けようかな、と言う。トレッキングシューズも、ゴアテックスの雨具も、持ってきているのに。(2人のブログはこちら)
なんということだ!ヒマラヤの山を間近で見ずにネパールを去るなんて考えられない。ましてや行きたいと思っているのに不安だから止めておくなんてなんと愚かな。実際のところネパールの有名トレッキング道の観光地化は相当に進んでおり、道に迷う可能性も日本の山に比べればよっぽど少ないように思われるし、宿やレストランの充実ぶりには驚かされるくらい。(でも、山を舐めてはいけませんよ)。テントや食料を持たずに富士山の標高を超える4200mまで登ることが出来、アンナプルナベースキャンプは世界で10番目に高いアンナプルナ1を筆頭に6000m~8000mの連なった高峰に囲まれる場所なのだ。それをみすみすスルーしようとする目の前にいる夫婦。ここは微力ながら拙者が一肌ぬぐしかあるまい、という誠に勝手な思い込みがふつふつと生じてきたので、一緒に行きますか、と申し出た。
そうしてもらえるなら行こうかな、ということで、翌日に必要な許可証であるACPC2000ルピー(2200円強)とTIMS20ドル(1600円強)を入手し、翌々日に彼らがビザの延長をした後、昼過ぎに出発地点のペディ(pedi)へバスとタクシーを使って向かった。トレッキングの楽しさに気付いてもらえるといいな、と願って。
ペディに着いたら雨。その時刻は15時を過ぎたところだったので、止む無くその日はペディにて宿泊した。この街は宿が1つしかなく競合がいないため、しょぼい・高い・まずいの3拍子が揃っていた。ネパールで最低の宿。次の街のダンプスに行くか、もしくはその間の宿に泊まる方が良い。ペディの宿には泊まらないことをおすすめする。
山を遠くに見ながら、歩を進めて行く。
見かける学生は制服を来ていてほのぼのする。
何度も川を跨いで上流へ。
しっかりした橋もあれば木を横にしただけのものまで。
カレーが美味い。
屋久島のもののけの森を彷彿させる多様な緑。
奥に輝くがマチャピチュレ。
ネパール人の主食のダルバート。
マチャピチュレの横から朝日が洩れる。
宿は簡素なもの。一泊100ルピー(110円強)が相場。
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