徒歩で行く虎跳峡トレッキング:入場料と日本人と韓国人[中国]

もともと行くつもりなどなかった。ただ偶然に偶然が重なって、ぶらりと寄ってみるのもいいかなと感じたのだ。体を動かすのが自転車によるものばかりだったためか、歩くという挙動に愉悦を感じ、気分転換の2日となった。景観がなかなか良かったので、写真を添えて書き進めて行く。

チベットを自転車で走ることが難しいと知った後は、寒いので南に進路を取った。四川省の理塘より雲南省のシャングリラまで来たものの雪に降られる。暖かいと言われる雲南省でも、シャングリラは標高が約3300mあることからどうやら寒いらしい。さらに南の町の麗江は、標高が約2400mまで下がってぐっと暖かくなると聞き、急ぎ足で南下した。シャングリラの宿を出るときに、麗江とのちょうど真ん中あたりの虎跳峡と言う場所でトレッキングが出来るから寄っていくと良いと言われた。

わざわざ途中で寄ってトレッキングしようとは思わなかったし、早く暖かい場所に行って洗濯をしたりネットをしたり本を読んだりと落ち着きたかった。チベットを目指した道は標高3000m~5000mが続く険しい道だったし、ルート選択による精神的な疲れも相まって、ゆっくり休みたい気分になったのだろう。チベットに行けないならば中国には満足してきたこともあり、次なる地を目指したい気持ちが起こっていた。そんな中、シャングリラを出発した日に泊まった場所がたまたま虎跳峡の目の前の町だった。

次の日の朝に走り出すこと2分で虎跳峡への分岐の道があった。せっかくだし一体どんなもんかとちら見して行こうと思って虎跳峡の方へ折れると、いきなり呼び止められた。
「ここから先は50元(650円弱)かかります。」
そこで初めて概要を聞くと、トレッキングで見て回るには2日かかるらしい。50元というと最近の1日の生活費に該当するので結構な額。なかなか悩んだ上で、2日かけないと見れないくらいだからたいした自然が残っているに違いない、こんなにそばまで来ていて素敵な場所を見逃したら嫌だ、という結論に達した。太陽が顔を出しており、絶好のトレッキング日和だったことも背中を押した。

入り口から少し行ったJane’s guest houseに自転車と荷物を預け、早速トレッキング開始。明日泊まれば無料で預かってくれるという。予定としては、今日は行けるところまで行って泊まり、明日の午後にミニバスでゲストハウスまで戻って来る感じである。

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春を感じさせる花達が迎えてくれた。標高が1900m程度まで下がってきたこともあり、シャングリラより随分暖かい。

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途中でやたらと懐いてくるヤギがいた。なんとも健気な瞳。

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トレッキング道は山の谷側の斜面中腹あたりを続いており、谷間の川沿いには舗装路がある。トレッキング道から虎跳峡が見えるのは時折であり距離が離れているので、約30km続く虎跳峡だけを眺めていくのなら自転車の方で舗装路を走った方が都合が良かった。けれど、トレッキング道から右側(南側)に見える頭に雪がかかった山々が美しいので、その景観を眺めつつ山道を歩いて行くのが楽しい。

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虎跳峡と言われる渓谷の溝を流れる急流は、トレッキング道からは時々しか姿を現さない。木々の間から覗いた一枚。最近はずっと自転車に乗っており、歩くときは山の上りで自転車を押しているか、向かい風で自転車を押しているかのどちらかだった。自転車を押さずに軽いリュックを背負って歩くというのがとても身軽で、荷物がない有難味を感じた。標高4000mを超える高地に1週間以上滞在したことで心肺機能が鍛えられたのか、表示されているコースタイムの半分程の時間で進んで行った。

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ヤギの親子と一緒に歩く。心が和んだ時間。

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道の途中にある宿でお茶を頂いて一休み。なんとも素敵な場所にある。

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宿泊を決めたhalfway guest houseも山々を見渡せる立地で、豊かな気分で夕食を食べた。そこで大学で日本語を専攻していたことから日本語がぺらぺらの中国人と会った。なんと彼も自転車で旅しているといい、これから1ヵ月かけてラサまで走るらしい。僕が断念した道である。いいなあ。きっかけは石田ゆうすけの「行かずに死ねるか」だそう。僕も旅の動機で触れた本である。まさか中国人にまで影響を与えているとはすごい。

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ちょうど満月だった。ここに来た決断を祝福するような光で、チベットを苦渋の思いで断念したことは正解だよ、と言われているような気がした。心が、そろそろ3カ月弱になる中国から次なる土地へ動く時期が来たと告げていた。

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次の日も快晴であった。この日は途中で出会った、定年を迎えた山好きの韓国人のおっさん2人組と共に歩いた。日本の山は富士山・北岳・槍ヶ岳と登っており話が合ったし、アルゼンチンのフィッツロイ・セントーレのトレッキングもお互いにしていたので話に華が咲いた。韓国でカフェをやっているので是非遊びに来てくれと強く誘われた。今回の旅で韓国に行く可能性は低いけど、日本から近いし遊びに行きたいな。

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この景勝地の入場料の50元は中国政府に支払っているようで、ところどころでそれ以外にもお金がかかる。例えば、トレッキング道を歩いていると果物などを売っている民族衣装を着たおばちゃんがいる。するとここは私が整備したところだから3元払え、とか、ここから写真を撮るなら8元払えとか。

虎跳峡の真ん中にある中虎跳峡は最も急流の部分であり1つの大きな見どころなのだが、そこの入り口にもおばちゃんがいる。注意書きがあり、簡単に書くと「政府の補助なしで観光客の利便と安全のために道を作ったので、その費用と維持費のために10元寄付して下さい」。そう書いてあるけど寄付ではなく実際は払わないと通れないし、雰囲気が観光客の利便性と安全のためというよりお金を儲けるためとしか思えないのである。そこでお金を支払って川の近くまで降りていくと、上の写真の場所でまたお金を取られるのである。川の最大のみどころに橋を作ったから5元払って下さい、と。実際は橋がなかったら自力で行ける地形なのだが、橋があるためにそれもやり辛いし、橋以外からアクセス出来ないようにロープと鉄杭が打ってある。入り口で50元払うことすらかなり悩んだのに、入ってから料金が加算されていく仕組みは詐欺のようでいただけない。初めから全て含んで70元だったら入ってないのに、50元払ったのに最も良いところが見られないなんて馬鹿らしいから皆払うのだ。貧乏旅行している人には世知辛いやり方である。

sR0011643 sR0011657 [youtube]http://www.youtube.com/watch?v=6msNKHYkuOI&feature=plcp[/youtube]

かなりの水量と迫力である。僕としてはカヌーで下りたいなあ、と思って眺めていた。実際すごいにはすごいのだが、カヌーをしに行く川とか、自転車で走っている未開発のところで近いレベルのものを見ることがあるので、まあそれなりに満足というところだった。トレッキングから含めてそれなりの費用でそれなりに楽しめたので、全体感としては来て良かったと思った。

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管理人のたかです。1984年4月20日生まれ。不動産会社での開発業、自転車世界一周、地域おこし協力隊を経て、愛知県新城市の古民家で宿泊事業をはじめました。SNSでフォローしていただくと最新記事を読むことができます。よろしくお願いします。