お世話になったメキシコ人への偽り【自転車世界一周旅行ブログ24】

当記事は2009年12月にメキシコを自転車で旅したときの話。2009年11月から2012年6月の約2年半の自転車世界一周旅行記の、2ヶ国目に該当している。

メキシコはティファナをスタートし、バハカリフォルニア半島を走った。最終的にはメキシコシティからキューバへ飛んだ。

お世話になった人に嘘をつく旅人の話

エドガーから始めて声をかけられたとき、自転車で旅をしていることは伝えたものの、2年かけて世界一周をするつもりということは伝えていない。

これはお金を持っていると思われ襲われないための1つの防衛手段であり、悪意があって隠しているわけではなかった。

出会ったときはまさか5泊もお世話になるとは思っていなかったので、特に改めて伝えることもなく日々を過ごしていた。彼と彼の家族は僕がお金を払おうとしても、全てのものをご馳走してくれた。

円のコインとお札を見せて欲しいと言われたときに持っている円をプレゼントしたので実際は幾らか渡したことにはなるのだが、基本的にお金は受け取ってもらえなかった。

そして打ち解けた3日目のこと。

僕「明日メキシコシティに行こうと思う。」
エドガーと家族「まだいれば良いじゃない?なんで?」
僕「メキシコシティでキューバに行く準備を早めにしたいんだ。」
エドガーと家族「何を急いでいるの?キューバに行ったあとはどうするの?」

そこで頭によぎった一瞬の迷い。その後に南米に行こうと思っていること、世界一周をしようと思っていることは言うべきなのか?言って良いのか?貧しそうな旅人をお世話しているといった雰囲気も多少あり、彼らの経済力からは考えられないことを伝えることで、今までの関係性が壊れることを僕は反射的に恐れたのだ。

少々ためらった後、僕は言葉を濁した。

僕「まだ決めてないんだ。」

と。その後さらに2泊するのだが、結局伝えられずに別れのときを迎えた。

甘えたことなのかもしれない、失礼なことなのかもしれない、傲慢なことなのかもしれない。お金を貯めていつか日本に行くことが夢なんだって語った彼に、次は南米に行って、ヨーロッパにいって…と嬉々として語るのは必ずしも良いこととは思えなかった。

経済的に恵まれた国に生まれた者の不誠実な言い訳でしかないのだろうか。どう振舞えば良かったのかという答えは未だに見つけられずにいる。

でもなぜだろうか。彼と次に会うときには真実を語り合え、一層の友情が育める気がしてならないのだ。そう思えることが救いとなっていることは確かである。

※エドガーとの記事
 ・[メキシコ]エドガーとの出会い(12月30日)
 ・[メキシコ]エドガー家の大晦日(12月31日)
 ・[メキシコ]エドガー家での年始(1月1日、2日)
 ・[メキシコ]エドガー父方の家での年始(1月3日、4日)
 ・[メキシコ]エドガーへの偽り

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1 個のコメント

  • それが一番いい答えなんじゃない?
    経済力の違いだけで友情が壊れることはないとは思うけど、・・・だよね。
    その気遣い、大切だと思います。

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    管理人のたかです。1984年4月20日生まれ。不動産会社での開発業、自転車世界一周、地域おこし協力隊を経て、愛知県新城市の古民家で宿泊事業をはじめました。SNSでフォローしていただくと最新記事を読むことができます。よろしくお願いします。