酒造見学して日本酒の作り方を学んできた【愛知県江南市 丸井合名会社】

トルコで出会った辰巳祥平氏と、名古屋栄の立ち飲み日本酒Bar八咫へ飲みに行った。彼は愛知県江南市の丸井合名会社で現在日本酒を作っている。寛政二年(1790年)から酒造りをしている由緒ある蔵。

愛知県江南市の酒造を見学して日本酒の作り方を学んできたよ![楽の世] (1)

そこで作られている清酒の「楽の世」は、米の味をしっかりと出す事を心掛けられており、芳醇濃厚に仕上げられている。酒造見学させて欲しいとお願いし、日本酒の作り方を勉強させてもらった。

(※以下の内容は僕が自分で勉強した内容と祥平氏に聞いた内容が混ざっております)

日本酒製造過程1 精米

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まずはお米を見せてもらった。日本酒といえば山田錦や五百万石といった日本酒づくりに適した米がある。そういった米をまず磨く。

なぜなら表層部にはタンパク質や脂肪が多く含まれているため、麹菌や酵母にとって栄養過多となってしまうから。精米でどれだけ米を削るかによって製品の特徴が変わるのだ。

これはラベルに書いてある。

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左上を拡大すると・・・

日本酒情報

精米歩合70%と書かれている。

精米歩合は製造過程でどれくらい削られた米を使用しているかを指し示す。70%だったら米の30%を削り、残りの70%を使うという意味。つまり%が下がるほど、使われている米が少なくなり贅沢!

精米歩合60%以下の米から造られた酒を吟醸酒、50%以下のものを大吟醸酒と呼ぶ。大吟醸酒の値段が高い理由の1つは、半分以上の米を削ってしまうことなのだろう。精米歩合の値が小さいほど、香り豊かなお酒になる。

精米した米は熱を含み、水分が奪われてもろい状態になる。それを冷ますために上の写真のような袋に入れて4週間ほど置く。この期間を「枯らし」と呼ぶ。

ちなみに原材料名が米と米こうじのみのものが純米酒と名乗ることができる。醸造アルコールが添加されていたりすると、純米という名称はつけられない。

日本酒製造過程2 洗米して浸漬して蒸す

お米を洗い、ポンプで水といっしょにタンクに送る機械。

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そして巨大なタンクで吸水させる。

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タンクにはホースがついており、米を運べるのだ。これを人力でやっていたころもあったわけで、ほんと大変。

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そして蒸す。そして放冷した米をエアーで送る。

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蒸した先へ移動。

日本酒製造過程3 麹づくり

蒸した米に種麹をつけ育成させるのが麹づくり。製麹堂(麹室)の温度は30度前後に調整されており湿度は高い。

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入れてもらったらカメラのレンズが速攻で曇った。もちろん眼鏡も曇った。むしむししているが、それが麹カビが生育しやすい環境なのである。

通常48時間かけて麹カビを育成させるが、丸井合名会社では51時間かけてしっかりとした麹をつくる。

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こうして麹がつくられる。蒸米と育成時間で分けられた麹を味見させてもらった。

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手前が蒸し米で、中央と奥が育成した時間がことなる麹。

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育成時間が長いほど麹がしっかりする、という表現を使っていたけれど、甘みがぜんぜんちがう。1粒の米を割ったときに、菌糸が中央まで入り込んでいると甘い。

日本酒製造過程4 酒母づくり

次に麹から酒母をつくるけれど、ここで混乱してはならないことがある。酒母を麹からつくるがすべての麹を酒母にするわけではない。日本酒づくりに酒母「も」必要なので、麹を使って酒母をつくるのだ。

蒸米と水と麹に酵母を足し、酒母タンクで酒母をつくる。

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中央のものは温める役割。温度を調節してデータを日々とりながら酒母をつくる。

速醸と山廃という作り方があり、丸井合名会社の酒造は山廃。山廃は速醸よりも時間がかかり、35日間かけて発酵させる。速醸は2週間ほどだという。

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酒母タンクごとにしっかりとデータを記録。

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詳細なデータをみると、日本酒づくりとは実験に近いと感じる。こうすれば美味しい日本酒がつくれるのではないか、という仮説を検証していた。

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発酵の途中段階の酒母を試飲させてもらった。はじめは酸がきいてすっぱい。アルコールはなく、ジュースのようである。アルコールが出てくると、ワインのような味わい。これがどうして最終的に日本酒の味になるのか果たして謎であった。

日本酒製造過程5 もろみづくり

酒母に麹、蒸し米、水を加えてもろみ(醪)を仕込む。初添え・中添え・留添えと、三回に分ける。初添えの翌日は「踊り」といい、酵母の増殖を促進させるために仕込みを一日休む。

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全部で20日間。1つのタンクに5000Lほど入っている。

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途中から泡が溢れないように扇風機を回す。

日本酒製造過程5 搾り・濾過・火入れ

醗酵の終わったもろみを搾って、酒と酒粕に分離させる。その酒を加熱殺菌してお酒の腐敗や変質を防ぎ、瓶詰めすると日本酒の完成である。

ちなみに火入れをしない生酒というものもある。生貯蔵酒という、生酒の状態で貯蔵して容器詰めの際に1度だけ火入れを行うものもある。どちらもフレッシュな香味を楽しむ酒で、冷やして飲む。

ここらへんの工程は見れなかったので写真なし。

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辰巳祥平氏との写真。ありがとうございました!

「楽の世」おいしく頂く

原酒購入!

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なめろうを作り、一緒においしく頂きました。

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こちらは純米酒。香りが宜し。

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2 件のコメント

  • 南山大学総合政策学部の中村達郎と申します。現在、卒業論文のテーマで日本酒と酒造会社について調べています。お忙しい中とは思いますが、以下の質問に答えていただけると幸いです。内容にお応えできない質問があれば空欄でかまいません。

    ①代表者の御年齢
    ②後継者の有無
    ③酒造好適米は何を扱っているか
    ④酒米調達方法(契約農家であれば戸数と所在地を教えていただきたいです。)
    ⑤どういった水を使用しているのか
    ⑥年間でどのくらい酒米を手にしているか
    ⑦会社を経営する上で、日本酒を多くの人に飲んでいただくための努力、それに対する問題点、今後の課題があれば教えていただきたいと思っています。

    また、差し支えなければ質問に答えていただいた情報を卒業論文に記載したいのですが、よろしいでしょうか?

    長くなりましたが、以上のことに応えていただけると幸いです。よろしくお願いします。

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    ABOUTこの記事をかいた人

    管理人のたかです。1984年4月20日生まれ。不動産会社での開発業、自転車世界一周、地域おこし協力隊を経て、愛知県新城市の古民家で宿泊事業をはじめました。SNSでフォローしていただくと最新記事を読むことができます。よろしくお願いします。