エベレスト挑戦女性の渡邊直子さんより連絡

旅を始めてから462日目。

エベレスト街道を散歩しているときに頂上を目指す日本人の女性のナオコさんと仲良くなった(詳細→[ネパール]エベレスト2:日本人女性最年少登頂者に出会う[ネパール]エベレスト5:BCでの再会とカラパタールからの絶景)。5月24日あたりに登頂を目指すと聞いて別れた後からずっと成否や安否が気になっていて、特に尾崎さんが亡くなったニュースを知った後は余計に心配であった。24日以降はニュースをさらによくチェックするようになったが、一向に動向が掴めない。そんな中で先日連絡をもらい無事を確認。ほっと胸を撫で下ろし、命あっての帰還こそ何ごとにも代えがたいと感じた。

日本人女性最年少エベレスト登頂者という世間を賑わすニュースではなかったものの、僕にとってのビッグニュースであった。そんな僕はブルガリアのソフィアからは連日キャンプで走り続け、現在セルビアの首都ベオグラード。セルビアが気にいったため、ルーマニアを経由してハンガリーに向かおうと思っていたが急きょセルビアの距離を延ばすことにした。ここから北上してハンガリーの首都ブダベストに向かう予定。

ヨーロッパに向かうと決めたときから、物価が高いので一体いくらかかるのだろうと不安だった。まだ西欧に行っていないのでリアルヨーロッパの水準は分からないが、今のところ予想をはるかに下回っている。トルコのイスタンブール滞在4泊の1日平均費用1400円。イスタンブールからブルガリアのソフィアまで10日間自転車旅を連日キャンプで1日平均費用700円。ソフィア滞在4泊の平均費用1日1700円。ソフィアからセルビアのベオグラードまで8日間自転車旅を連日キャンプで1日平均費用が600円。

セルビアでは1日900円くらい使っている感じだけど、ちょいちょいご飯やビールを御馳走になっているので安くなっている。しかし今のところで1日1000円を切っているペース。他の国と比べてもかなり安い方で、物価が安いアジアでさえ、贅沢をしていたからかもしれないが、もっと使っていた。1000円以下といえばチベット文化圏を自転車で走っていたときくらいではなかろうか。キャンプがやりやすい環境が続くといいなあ。

最近読んだ本は「上海の西、デリーの東」。旅行記を読みたい気分の人におすすめで、僕はかなり気にいった。心に引っかかった部分はメモっているのだけど、それがなかなかの量に。引用も合わせて紹介します。

旅行記の中では大分好みの部類に入る。それは引用の数を見てもらえればわかるだろう。今現在旅をしている身として、自分の心を拾い出すような文章を見ると、僕もこういう文を綴りたいと思う。

・ほんとうの中国の姿は神秘や静寂や山水画の中にあるのではなく、誰がなんといおうと十億という途方もない数の、我々と価値観の違うリアルな中国人の精神と生活の中にある。(p45)
・旅でいちばん大切なことは「どうにかなるさ」という精神だ。それから臆病さを伴った「慎重さ」である。この二つのバランスが場面場面でうまくとれていないと、上手く旅をすることはできない。(p56)
・自分は消費文明社会のまぎれもない一員であり、今まで自分がやや軽んじて考えてきた“経済”というものが、“物質”という面においては確実に日本という国を豊かにしているのだということを。そして、どう拒否してみたところで、自分はその豊かな物質とその流通の社会に依存して生きている(きた)という体質を否定できないのだ、と。(p129)
・そう考えてみると、ニューヨークやサンフランシスコの中華街だって立派な中国であるし、それどころか、中国なんていう国はほんとうはどこにもないのではないだろうか、という逆の発想の考え方さえ出てくる。これはつまり、中国とはある特定の“国”の名前ではなく、漢民族というものが作り出した世界的な規模の“概念”なのではないだろうか、ということだ。(p155)
・わかった、と思った気持ちを打ち消して、その奥の世界にもういちど心を澄ましてみなければならない。わかったつもり、それは、危険だ。(p216)
・戦争は起きて当り前のものだ、と。だから起きないようにするにはものすごい努力が必要なのだ、と。(p236)
・“ノープロブレムという言葉を乱発する外国人には気をつけろ”それは、我々バックパッカーの仲間うちでは常識であったはずなのだ。(p265)
・資本主義社会とその文明は、その性格上どうしても個人の価値観を越えて肥大し続けてゆく。そこには人の為に社会があるのではなくて、社会の為に人がいる、という図式がどうしても出来あがってしまって、そのわけのわからないほど発達した構造の歪みから生ずる、歪曲した犯罪に飲み込まれてゆく者は多いはずなのだ。(p292)
・僕の、生きるうえでのいちばん重要なものは、経験だ。僕の人生の価値は、その経験を死ぬまでにいかにどれだけ多く積み重ねるかで決まると考えている。旅は、そのためのものだ。だから僕にとっての人生は旅の中にある。(p304)
・僕は思う。女も恋も愛も社会的地位も経済力も、それどころか社会的に存在することの意味さえ、今の僕にはない。あるのは自由だけだ。自由は、孤独を背負うことを必須の条件として架せられている。僕はそれを、痛いほど味わっているというわけだ。(p324)
・日本という国は、ほどほどに尊敬されてはいるが、それでいて日本人旅行者そのものに対する評価は低いのが現実だと思う。(p345)
・考えてみれば一億人の人がいれば、必ずいつかは一億個の死体ができる。これは当たり前のことだ。その当たり前のことを、厳粛そうなふりをして、今まで眼を背けるようにして、実はよく考えもしないで生きてきたのではないか、と。(p420)
・もし、この本を読んで「よし、オレもいっちょ会社を止めて放浪の旅に出るか」と思った人がいるなだ、その人は憶えておいたほうがいい。旅から帰った後の暮らしは、きっと、つらいものになるだろう。これは予言のように見えて、実は自分と他人との体験を踏まえた、かなり正確な予測的事実である。(p434)
・自分はまだ、ほんとうの自由ではない、そのことを旅の中で激しく自覚した。ただ束縛がないだけの生活は、必ずしも自由だとは言い切れない。自由になるためには、心の底の底の底から欲する、ほんとうの目標というものがなくてはならない、そう思った。(p436)







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管理人のたかです。1984年4月20日生まれ。不動産会社での開発業、自転車世界一周、地域おこし協力隊を経て、愛知県新城市の古民家で宿泊事業をはじめました。SNSでフォローしていただくと最新記事を読むことができます。よろしくお願いします。